いかなかった点が指摘されました。京都では海鳥死体回収ポストを設置したそうですが、もっと活用してもらうには、重油回収ボランティアとの連携が不可欠であるということが、須川氏から補足されました。
早い時点で地元の理解と協力を得ることが大切ですが、実際、重油回収の現場に踏み込むことは難しく、指示をしている漁協に前もって働きかけておく必要がある、という意見も出されました。
また、死体回収は、海鳥の汚染状況をつかむために意義のあること。それには、大きなスペースをもつ施設(救護用リハビリプール、冷凍庫)がほしいし、研究用にある程度の数量が必要である。しかし、鳥の死体に関しては、海岸の被害程度をしっかり把握していれば、全部を残すこともないのでは、という発言もありました。
今後のこととして、繁殖数のモニタリングや、海鳥分布状況を海上より把握することも大切なことが指摘されました。油汚染事故では、海岸からの観察ではわからなかった種が打ち上げられます。海鳥についてはまだまだ分からないことが多いのですが、季節による分布状況がひとつ分かることによっても、油の広がりをどの方向に防ぐかということにもつながってきます。
また、現場で種の確認を誤っていた場合があり、一度種名が公表されてしまうと、訂正が難しいことが指摘されました。各府県の確認者の経験の程度もまちまちであることから、鳥の特徴等を示した印刷物で、ある程度熟知してもらいたい、という意見が出され、マニュアル作りの必要性を感じました。
今回の反省としては、作業の成果をまとめたのちに現場にもどす、というフィード・バックがなかったことが、あげられました。環境庁などの行政機関で、救護や調査に関する手順やフィードバックの方法などをマニュアル化するべきでは、という意見があがりました。
集会は、以上述べたような内容のものでしたが、識別の重要性、人為的な行為が営巣地に及ぼす影響、これからも起こるであろう招かざる被害を、愛すべき野鳥たちのため他団体とどう協力、連携できるのか……。いくつかの課題をもち、帰路についたのでした。
※集会後にいただいた高橋さんの原稿に、内容補足のための加筆を一部行いました(研究会事務局)