(2)主要水路概要
内陸水路の特長
ミャンマーの河川航路の特長は、この地方特有の気象である乾期と雨期によって、水位が著しく異なることである。雨期で水位が最も高いのは通常7月から8月にかけてで、乾期の最低水位との差は個所によって8m〜13mにも及ぶ。航行上の問題とされているのは、高水位期は流速が早いこと、低水位期は浅い水深、狭い可航幅、鋭く屈曲した水路があることである。一般的には11月15日から翌年の5月15日頃までが低水位期といわれている。
デルタ地帯では潮汐による水位差があり、干潮時には川岸一帯の平地は泥地化する。春の増水期には、干満差は最大でPATHEINでは2m、YANGONでは5.6mに達する。
低水位期には航行船舶の喫水制限が実施される為、航行船の船型は平底の特殊なものとならざるを得ない。
雨期には増水によって川岸が浸食され、立木が流れに呑み込まれて川底を転がっていくか、あるいは川底に埋まってしまうということがおこる。この除去もWDの重要な作業であり、この為に起重機を備えたSNAG LIFTERを3隻所有している、雨期が過ぎると川の水深は次第に浅くなっていくが、増水期の川の流れによって砂質の川底がどの様に変化しているかをいち早く探査するのもWDの重要な業務である。その他、雨期に川岸が浸食されて流れ出た岩石、あるいは川底から露出してきた岩石が航行障害物となる。これらの岩石は引き揚げが不可能なものは砕岩処理するしかない。そのためのROCK POUNDERを一隻所有している。
更に、水深が浅くなれば川底の洲が露出するようになり、可航水路も制限されるようになる。WDは状況に応じて木柵で簡易な防砂堤を作り、航路を閉じたり、或いは広げたりして航路の水深を確保する。