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日射病・熱射病

日射病・熱射病  「体が危険なレベルまで加熱された状態」
原因/1. 日射病/炎天下に長時間さらされたり、直射日下で重労働や運動をした時などに起こる。
2.熱射病/直射日光以外の高熱の環境下、例えば機関室やガラス工場などで長時間重労働をしている時などに起こる。
徴候
1.組織は赤くなる。
2.位置感覚を失い意識混乱する。
3.体温は40度を越え、上昇を続ける。
4.通常皮膚は熱く、乾燥しているが、患者によっては発汗を続ける場合もある。
5.脈拍は早い。
6.患者は意識を失う。
手当/初期の評価-意識の喚起-気道-呼吸-循環-出血-ショックの管理。
1.涼しく、風通しのよい場所に運び、首や体を締め付けているボタンやベルトなどをゆるめる。
2.つぎに、冷たい水に濡らしたタオルやシーツなどを当てて全身を冷やすと同時に、衣類などであおって風をおくる。状況により、冷水浴、冷水をホースでかける、または氷やウチワなどを使用して患者を即座に冷やす。
3.体位は水平または上半身をやや高めに寝かせるとよい。
顔面が蒼白で脈が弱い時には、足を高くした体位にする。
4.体温が下がり意識がもどってくるか、意識がしっかりしている時は、スポーツ飲料や冷たい水、できれば薄い食塩水を飲ませる。
5.患者を冷やし続けながら救援隊が到着するまで手当を続ける。
注意事項/1.患者の体温が即座に下がらない場合には脳傷害や死亡につながることがある。
2.救援隊の到着が遅れる場合には、患者を38.8度以下まで冷やし密着した観察を続ける。体温が再度上昇するようなら冷却を続ける。
事故防止/高温、多湿という環境条件の悪さだけでなく、衣頚の不適、疲労、睡眠不足、肥満、貧血、便秘、病弱などが誘因となり、暑さに弱い体質の人がかかりやすいといわれている。炎天下での長時間の起立や夏期のマラソン、ハイキング等では、必ず帽子を被って行動し、また常に汗を出して体温を下げるために水分の補給を怠らないようにし、水は、休み毎に必ず飲むようにする。予防策をまとめると以下のようになる。
1.吸湿性、通気性のよい衣類を着用する。
2.水分の補給を適当に行ない、同時に塩分を少量補給しておく。
3.直射日光下では必ず帽子をかぶらせる。
4.換気、休養など環境改善に努める。
5.炎天下での長時間の重労働では、40〜60分毎、こまめに休養を取り、水分の補給を行ない体力の消耗を防ぐ。

 

 

 

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