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このように、ボーカルの声が聞こえにくくなる結果になります。さらに、舞台の奥の壁からの反射によってバンドの音が大きくなり、ますますボーカルの声が聞こえにくくなります。次に、大きくなったバンドの音に対抗するため、沈んだボーカルの音量を上げて聞いてみましょう。
(CD 音楽)
キンキンした音になります。モニタースピーカーから出た音がマイクを通してループをつくり、ハウリングという現象をひき起こしています。これが最近の現状です。
また、グラフィックイコライザーを通さず、ミキシングコンソール内蔵のイコライザーだけで補正したものも聞いて下さい。
(CD 音楽)
同じ音量であれば、どういう周波数帯であろうと、イコライザーで調整することにより持ち上げたところはゲインが上がり、落としたところはゲインが下がるというにとになります。
イコライザーで補正されることにより音量が下がります。それを元に戻すために、またゲインを上げることになります。すると、違うポイントでハウリングを起こし、さらにイコライザーで補正をかけます。つまり、結局はその繰り返しになり、イコライザーを使った過剰な補正は音質を悪くする一方ですから、必要以上の補正は避けなけれぱなりません。ミュージシャンが何を望んでいるかよく議論し音づくりをする必要があると思われます。
(音量で勝負し、その雰囲気が伝わればいいというロックなどは除きます。)
(資料P12図4参照)また、イコライザーで過剰な補正をすることにより、周波数特性だけでなく位相の変化や微少な単位での時間差がでて、全く違う音質のものができてしまうということにもなります。ただ、変化の度合いがあまり大きくないため、普段は気がつかないことが多いようです。
イコライザーを変えるということは、望みの音質に変える以上に、変化していくということを頭に入れておかなければなりません。
もう一度、グラフィックイコライザーを通した音と、通してない音を切り替えながら聞いてみます。
(CD 音楽)
つまり、いくらグラフィックイコライザーで補正しても、同じくらいの音量にしかならないということです。

 

 

 

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