
講義2「持ち込みPAの音響について」
講師 石井玄保(日本PA技術者協議会理事)
持ち込みのPAは音がうるさいとよく問題になっているのを聞きます。本日はそのことについての話をしますが、本日はPAの対象が100人くらいのため、普段持ち込むPAの3分の1から、4分の1くらいのシステムを設置し実験をしてみたいと思います。これでも十分音量が出ますので、若干うるさいと感じる方もいるとは思いますがご了承下さい。
舞台にあるスピーカーを説明しますと、ステージ両サイドに置いてあるものは持ち込んだもので、中央にあるのは歌手用のモニタースピーカーでホールのものです。また、今話している声はプロセニアムの中央にあるスピーカーから出ています。
まず始めに、音がどこから出たら、あるいは、どのようにすればより聞きやすい音になるかについて、参考までに話したいと思います。
直接CDの音をステージフロント中央のスピーカーと、プロセニアムが3箇所、ステージサイドのホールに常設してあるスピーカーの5箇所から音を出します。
(CD ナレーション 冬枯れの…)
客席前列用として、舞台下に埋まっている6台のステージフロントスピーカーのうち中央の2台から、デジタルプロセッサをディレイとして使用し、プロセニアムとステージサイドのスピーカーにディレイをかけて、音が出ているようにセットしました。
(CD ナレーション)
これは、機械等を使わずに、耳で聞きディレイなどの音合わせをしたものです。広い会場で多数の音源があるとき、時間差が生じホールの残響が複雑になり、もやっとした感じがします。しかし、1つのスピーカーでは音量が足りないときには、他のスピーカー同士の干渉を避け会場全体を均一な音にしなければなりません。このホールでは、プロセニアム中央のスピーカーは1階席中央部分と2階席前方部分、ステージフロントスピーカーは1階席前部分だけをカバーすることになっているため、舞台両サイドのスピーカーを同時に使用しないと均一にはなりません。
まず、プロセニアム全てのスピーカーでディレイを使っていない(定位をしていない)状態で聞いて下さい。
(CD ナレーション)
次に、プロセニアム中央のスピーカーに定位をさせたセッティングの状態で聞いて下さい。
(CD ナレーション)
感覚的にぼやっと広がった音がふっと小さくなり、ホールの残響が集中し響きが少なくなると思います。このようにディレイを使って定位をすると音が均一になり有効であるといえます。
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