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に、薄いブルーの光量をあげ、ステージスポットを使うことによって、朝日が射してきた印象を見せています。同時に太陽が出て上手の方から日が射してきたという、光の方向感も表現しています。そして、サスに薄いブルーと黄色をまぜて白っぼい昼の印象をつくりました。次に夕日ですが、客観的な夕焼けはオレンジではないでしょうか。次が夜になります。薄いブルーのステージスポットを当てることによってオブジェの立体感を出させています。さらに、暗いブルーを使って夜が深まり深夜になります。
また、ホリゾント幕にかかった色は3割から4割程度の見た目の印象を決定しているといえますので、その配色は非常に重要です。
ローホリゾントライトでブルーと赤を混ぜるとパープルになります。ブルーと赤と黄色ないしはグリーンを混ぜることによりピンクになります。オレンジについても同じです。基本三原色のブルーと赤とグリーンをフルでつけますと、白っぽく見えてきます。
次に、心理描写について説明します。日常生活の中では様々な心理状態になりますが、特徴的な物について、色による訴えかけ方を見ていただきたいと思います。
まず、赤ですが、激しさのようなことを表現しているといえます。統計的に日本人がもつ赤の色彩感覚は、熱情、激怒、祝福、卑俗、革命、恐怖、勇敢などで、連想する物としては、血、太陽、炎、日の出、戦争、儀式が挙げられています。
また、濃いブルーをべースにパープルを少し混ぜると、いかがわしさや怪しさを表します。落ちついたブルーで穏やかさ、ステージスポットで薄いブルーグリーンをあてると寂しさや孤独、ピンクと黄色で楽しさや明るさをそれぞれ表現しています。
c.形をつくる光についてオブジェを立体的に見せる工夫をしてみます。
トップからのサスに前明かりとしてのピンスポットをバランスを考えて組み合わせると、立体感のある表情として照らしだすことができます。上からと前から、あるいは、後ろからと前から明かりを与えることによって、物の立体感がはっきり見えてきます。さらに、ステージスポットを使うことによって立体感を強調することもできますが、両サイドから強く当てすぎると、コントラストが弱まってしまうことがありますので、シーリングピンを足し合わせるとはっきりと表情をとらえることができます。
このように様々な方法により、器材の台数などの制約の中でも立体感を描写するいくつかの手段を選択できます。
以上が、舞台照明の役割としての3つの要素の説明でした。
次に、中央のオブジェに限らず、全体明かりの中での見え方を説明します。
舞台照明は一部分だけのものが見えていても効果としては不十分で、歌い手と地方(ぢかた)のように2つ以上の場所に照明を当てる場合、それらの明るさのバランスをよく考えて照明をつくらなければいけません。
また、色使いでどのようにバランスが変わってくるかを見てみます。
(実施説明)下手からアンバーと上手からグリーンを交差するような形で、それぞれ片面だけ光が当たるようになっています。
グリーンとパープルで、舞台の片面だけ明かりをあてるようにしてみました。サイケデリックな色使いだと思います。床に落ちた影の部分に逆方向から色を光をあてること

 

 

 

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