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イは高くて大事なものだとしまっておくのではなく、皆さんで弾いてもらいたい。その前に手をよく洗って、あれは木象牙だから汚れていると全部しみこんでしまうから。
○坂本 昔、スタインウェイにユニコーンをかけて一生懸命磨いた人がいた。そのあと始末に困ったことがあった。
○間瀬 藤沢でオープン当時、スタインウェイの管理に失敗した。一生懸命に除湿機をかけていた。舞台に出して何か変だなと思ったら、ハンマーレールが裂けた。急激な湿度変化になるのだが、それを取り替えてしばらくしたら、今度はハンマーがはじけた。いろいろ話を聞いたら、大事にしすぎるのもよくないね、ということだった。きょうは実際にピアノを管理されてる方が多いだろうから、ぜひ1週間に1回鍵盤を上から下まで全部動かしてほしい。
○斉田 3人いてみんな性格が違うが、そんなにピアノを大事にしなきゃいけないのか。青少年センターというのは音楽の催し物があまりない芝居小屋なので、うっちゃっておくと鍵盤から何から錆びてもうだめだ。
○坂本 多目的ホールということで、30年代から50年代にかけて次々とホールができた。必ず入っているのがピアノだ。私がいた青少年センターには、スタインウェイとヤマハとウォリッツァーという電子オルガンが置いてあった。邪魔だった。ウォリッツァーについては別の会館に引き取ってもらった。横手市民会館では、改修に伴ってピアノを新しくした。この管理が大変だ。前のピアノの管理を失敗したので、今度は失敗しないようにと思っているが、正直言って邪魔だ。コンサートのプレーヤーは、打ち合わせ表にスタインウェイがべーゼンドルファーがなければヤマハでもいいと書いてくるが、うちにはヤマハしかない。クラシックでもポビュラーでも演歌でも何でも使っている。高いものだからハラハラしながら管理を続けている。
○間瀬 確かに施設の専門性で、青少年センターというのは建設の当初からお芝居を中心にした施設ということを大前提にしているので、そこに何てピアノが2台必要だとか、オルガンが必要なのかというのはあると思う。あと、音楽ホールというのになぜか所作台を買ってある小屋があったり、平台の数が全然足りないとか、音楽ホールだったら合唱で山台を組むはずだ。たから新しくできる施設の方が来たら、ビシビシ言ってほしい。あとはピアノだが、スタインウェイとべーゼンドルファーて音色が全然違う。ヤマハもカワイも。その施設に合ったのは何なんだろうというサゼッションをしてあげるべきだと思うし、多目的ホールの職員であれば、知識を持ってなければいけないのではないか。ピアノは高価な家具ではない。
○斉田 音楽ホールでありながら、平台、所作台があってピアノがなければ感心なホールだと思う。
○間瀬 本当に変なホールというのが随分とある。その多くはロビーと客席はきれいだ。緞帳から後ろが、間が抜けている。だから皆さんのホールは間の抜けていないホールになってほしいし、これから新しくできる所はぜひそうあってほしい。
○坂本 いずれこのカリキュラムを作るとき、間瀬館長さんが最初にお話になったように「ハコから劇場に」という考え方でいる。ハコというのは何だろう。要するに行政の側、市長さんなりがハコ物を建てると、あの人の時代に建てたハコです、と選挙の票につながるのたそうだ、そういうハコが全国に建ってきたのだと思う。そうならざるを得ない状況もあったと思うが、少なくとも30年代から全国にできてきたホールに係わってきた人達は、我々もその生き残りだろうが、もう30年以上もやっている訳だ。依然としてハコはハコのままになっているということのないように、つまり、舞台に係わっている職員、公立文化施設に係わっ

 

 

 

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