
ただ、うちの主任が半年位触らせてくれなかった。仕込みやっている時に「すみません。ブリッジ上げてください。」とくる。あれを押すと上がるというのはわかっているが、主任が「事務所にいるから電話しろ。」と言う。電話すると「これから下りていくからな。」と言うが、お客さんにとっては大変迷惑な話だ。「番兵している俺は何なんだろう。」と思ったこともあったが、そのことがどういうことだったんだろうと今考えると、モーター特に電動の関係だが、モーターの音で引っ掛かってる、あるいは調子が悪い、何かおかしいなというのがわかるようになってくる。そのために職員が操作してくださいよ、あるいは職員の方しかだめですよ、と言っているのだ。職員がいないでメインのスイッチを入れて「はいどうぞ。」と言うと、結果的に自分の好きなように使うから、こわれた場合は「こわれてましたよ。」と言って自分達がこわしたまま帰ってしまう。そういう意味では操作盤のところに、職員の指示に従ってください、あるいは職員が操作します、ということを守っていく必要がある。
○斉田 仕込みの時に立ち合った人が休んで、どういう仕込みをしたかわからない人が交替すると、ろくなことが起きない、だから3日続く仕事であれば、最初に仕込みをした人が最後まてやって、後で3日休めばいい話だ。1日1日替わっていく場合は誰がやってもかまわないが、3日4日続く仕事はその人が朝から夜までずっといるというのが安全管理なのかなと思う。急に交替するとろくなことが起きないので、事務所の方からローテーションがどうのこうのと言われても「それは困りますよ。」と言ってほしい。
○間瀬 逆に言うと、事務所の人が「こんなシフトでよいのか。」というくらい理解があるようであってほしい。きょうは舞台の技術を実際にやってない方もいらっしゃると思う。委託業者の方、舞台技術書の方の管理的な立場の方もいらっしゃる。やる気のスタッフがいても、やらせない管理体制もあると思う。3日連続の芝居がはいっているような時は、なるべく同じ人になるように言ってやればいい。それは、スタッフはつらいが、来るお客さんのためなんだということを考えてほしい。
○坂本 安全管理で、一人だけ人身御供にしておくというお話をしておきたい。うちの方は吹奏楽が盛んだ。各学校で吹奏楽の定期演奏会というのをやる。高校生だから当然血気盛んな時代で、楽器を持ちながら梯子に上って行くということもよくある。そういう時は「ちょっと下りて来い。」と大変乱暴な言葉で罵倒する。徹底的に罵倒する。そのことによって他の人間がビシッとなる。これは安全管理の1つなのかな、と思っていてずっと続けてきた。
○間瀬 例えぱピアノの管理の仕方で、それを楽器として扱ってるかどうか振り返ってみて頂きたい。例えば調律の時に、鍵盤を押してハンマーが上がるまでのところをじっくり見てもらいたい。ハンマーの付け根のところは薄いフェルトを巻いてその中に芯が通っている。あれは動かさないとだんだんフェルトが固くなってきて動きが悪くなる。要するに高くていいピアノでもずっと弾かないでしまっておくとだめになる。この間、松尾楽器の技術の方とお話した時に、「1週間使わなかったら小屋の人が弾いてください。」と言っていた。低い方から高い方へずーっと鍵盤をいじっていって、高い所からまた下ろしてくる。1週間に1回5分位でいいから鍵盤を動かしてほしいということだった。あとはピアノ庫に入れっ放しで、中の温度管理をきっちりされてない所がある。除湿機入れても、開けるとムッとするくらい湿度が上昇していることもある。あれはピアノのためにはよくない。日本の場合は多湿な所だから、ヨーロッパと同じ温度・湿度にする必要はなく、ある程度のアローワンスを持った管理が必理だ。皆さん方にお願いしたいことは、特にスタインウェ
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