りの成果はみられている。しかし、受診率伸び悩みが問題となっている市町村も少なくない。
そこで、検体回収の方法、採便キットの配布方法の違いなどによる受診率の差を分析し、便潜血検査受診率向上のためにはいかなる取り組みが重要であるかを検討した。今回の検討からわかったことは、?@採便キットは対象者全員に配布した方が受診率が高い、?A希望者のみに採便キットを配布する場合は、単独検診よりも複合検診の方が受診率が高い、?B対象者全員に採便キットを配布した場合は、各種検診の組み合わせによる差は少ない、である。
当院と大腸がん検診の委託契約を結んでいる市町村は、郡部の検診対象人口が比較的少ない小さな市町村が多い。当院では各市町村の検診担当者、特に保健婦とタイアップして各地区の区長、町内会長を通じて検診対象者へ採便キットの配布を行っている。このような配布システムをとっているため、対象者全員への採便キットの配布も可能となっている。また、検診未受診者については、配布した採便キットは各地区の区長、町内会長を通じてできるだけ回収するように努めている。
どのような検診においても、一般的に郡部が都市部に比べて受診率が高いといわれている。今回の検討では契約団体の郡部の人口規模の小さな市町村が多く、採便キットの対象者全員への配布が比較的容易であった。単独検診の場合、自治体の人口規模にかかわらず全対象者へ採便キットを配布した場合の受診率が高くなっており、採便キットの配布方法の工夫が受診率向上へのカギとなろう。一方、希望者のみに採便キットを配布する場合は、単独検診よりも各種検診を同日に行う複合検診の方が受診率が高かった。一度に複数の検診を効率よく受けられ、検診にとられる日数、時間が少なくて済むので、受診しやすかったと考えられる。今後、なるべく複合検診を採用するよう工夫すべきであろう。また、単独検診でも、採便キットの配布・回収システムを工夫すれば、複合検診と同等の受診率を確保することが可能であると考えられる。
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