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方法では、頸動脈病変については超音波断層装置(日立EUB-565)と7.5MHzリニア型探触子を用いて超音波専門医が評価した。頸動脈壁厚の計測では、飯山らの報告に基づき患者を仰臥位にし、両側頸動脈を前斜位および後斜位にて観察、頸動脈分枝部より10m近位側の総頸動脈後壁側のブラーク病変を除く内中膜複含体の厚さ(以下頸動脈壁厚)とさらに10m近位側の壁厚とを各々計測し(図1)、検討にはその平均値を用いた。

血圧は安静座位にて標準水銀血圧計により右上腕にて測定し、各種代謝については総コレステロール(以下T-Chol)、中性脂肪(以下TG)、HDL−コレステロール(以下HDL-C)、LDL-コレステロール(以下LDL-C)を取り上げ、超音波検査施行と最も近い日(3日以内)の空腹時に測定した。高血圧症は収縮期血圧160mHg以上または拡張期血圧95mHg以上、または既に高血圧症として治療されていた例であり、糖尿病については初診時75g経ロブドウ糖負荷試験にて糖尿病と診断された例および既に糖尿病として治療されていた例とした。患者背景の動脈硬化陸疾患の有無については、狭心症および陳旧性心筋梗塞といった虚血性心疾患と、一過性脳虚血発作および脳梗塞の診断がなされているものを疾患あり群とした。

結果は平均値±標準偏差で表し、統計学的処理はχ2検定またはmpaired-t検定を用いて行い、危険率5%未満を有意差ありとした。頸動脈壁厚と年齢、喫煙歴(BrinkmanInde×11日喫煙本数×喫煙年数)、血圧、脂質代乱糖代謝との関係については、単相関あるいは重回帰分析を用いて検討した。

II.結果

対象の背景は表2に示すごとくであり、喫煙者46.9%、高血圧症36.1%、糖尿病29.9%、動脈硬化性疾患23.8%と合併を認めた。年齢と頸動脈壁厚との関係(図2)では、男性r=0.45(p<0.002)、女性r:0.38(p<0.002)と正の相関を認め、男性1.1±0.3mm、女性1.0±0.2mm、全体では1.1±0.3mmであり、男女間においては差異を認めた(p<0.03)。頸動脈壁厚と各種危険因子との関係(表3)では、

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