その後、約40分で当院に搬送された。
現症:意識レベルはJapan Coma Scale(JCS)III-200で、口唇チアノーゼ、努力性頻呼吸を呈し、両側胸部にcoarse crackleを聴取、気道よりpinkpufferの持続喀出を認めた。
入院後の経過:入室後ただちに気管内挿管し、吸引によって泡沫性血性気道液を約200ml採取した。人工呼吸器はServo900Eを用いて、IMV(synchronized intermittent mechanical ventilaton)モードで、PSV(Pressure support ventiIation)4cmH20呼気終末陽庄(PEEP)5cmH20吸入酸素濃度(FlO2)0.85で開始した。翌日には意識レベルはJCSII-20まで改善したものの、胸部には水泡性ラ音(coarse crackle)が聴取され、気道からピンク色の分泌物の喀出が持続していた。
入院後24時間目に撮影した胸部X線写真は両側肺野にびまん性間質性肺胞性浸潤陰影を認めた(Fig.1)。同時に撮影した胸部コンピューター断層撮影(computed tomography;CT)では、全肺野で陰影濃度(density)が上昇しており、著明な含気量の減少と、浮腫性変化がみられた(Fig.2)。
当初より、抗生物質、ステロイド、γ-グロブリン、気管支拡張剤による治療をしたが、呼吸状態の改善がみられず、高濃度酸素の投与でも動脈血肺胞酸素分圧比(arterial-alveolarPO2 ratio、以下a/AP02)は0.19と高度の肺内右左シャントを示し、アシドーシス(pH7.24,base excess-8mmol・l-1)がみられたため、呼吸管理開始36時間目にSurfactant.TA(以下S-TA、サーファクテン:東京田辺製薬)を3vial(100mgリン脂質)を4mlの生理食塩水に懸濁し、3vial(300mg,12ml)を気管支内視鏡下に気道内の分泌物を十分に吸引・除去した後、内視鏡チャンネルを介して左有の各区域支に分割注入した。
S-TA投与2時間後には、それまで観察されていた気道のピンク色の分泌物は消失し、聴診上捻髪音(fine crackle)さえ聴取されなくなった。
またa/APO2は、投与後2時間で0.2、12時間後には0.34、18時間後には0.60、84時間後には0.65と改善した。それに伴いFlO2は12時間後0.54、18時間後0.4、36時間後には0.3まで減少できた(Fig,3)。
また、急激な血小板の滅少がみられたので、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)と診断し、メシル酸ナファモスタット、ヘパリン、アンチトロンビンIII製剤の投与を開始した(Fig.4)
第7病日の胸部X線写真(Fig.5a)は顕著に改菩したが、胸部CT(Fig.5b)では両背部に無気肺と、胸水の貯留を認めた。
第8病日に気管切開を施行し、徐々に換気条件を低下させた。しかし、第10病日に白血球が30,000m-3
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