(12)連絡待ち(消防隊員3人+α、札幌医大救急集中治療部のスタッフ多数)
利尻島での救急搬送は終わり、空港に残った者は三々五々に帰って行く。病院で待つこと1時間、ヘリコプターが丘珠空港に到着したと連絡が入る。自衛隊のヘリコプターは機体が大きく、札幌医大のヘリポートヘは着陸できないため、丘珠空港への着陸になった。空港にはすでに連絡を受けた札幌市の救急車が待機している。空港から病院まで約20分間の搬送である。
まもなく、患者が容体の変化もなく札幌医大へ無事到着したと連絡が入る。そして、札幌医大で多くのスタッフによる治療が始まるよかった、これで助かるかもしれない。病院の裏玄関から自宅への帰路、空はもう白んでいる。あと数時間で今日の診療が始まる。
(13)ヘリコプターによる救急搬送と人の動き
このように、1人の患者を救うために、総勢100人以上の人々が力を合わせて、救急搬送そして救急医療を行っている。救急搬送には、多くの人々の協力が不可欠であり、彼らのうちの1人が欠けても成り立たないのである。離島でのヘリコプターによる救急搬送は、年間5例ぐらいと決して多くはない。しかし、非常に大切な要素であることから、さらなる充実が望まれる。
参考文献
1)尾畑弘美、田中宏志、阿部昌彦他:利尻島における救急患者島外搬送の実態。日本救急医学会雑誌2(4)1700-707.1991.
2)菅原斉、青柳幸治、小松英樹他:離島中核病院での緊急輸血の現状と今後の課題。月刊地域医学8(4)1186-190.1994.
(旭川医科大学 〒078 北海道旭川市西神楽4線5号)
(市立札幌病院 〒060 北海道札幌市中央区北11条西13丁目)
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