取らせるなどの、積極的な介護力が必要であった。
3.入浴等に、息子(男性の力)の積極的な関与も必要であった。
C.福祉
1.母屋と離れた別棟で生活していたため、日中はほとんど一人で過ごすことが多く痴呆の予防や、生活全体の活性化の意味からも、デイサービスを勧めたが、移動能力の問題で利用できなかった。ヘルプサービスも、週1〜2回は必要であった。
2.入浴介助、特に最期の2〜3ヵ月は入浴車によるサービスが必要であったが、患者の同意が得られず(遠慮や羞恥心等)、清拭で終わった。
3.訪問リハのサービスがあれば、積極的に利用させたい患者であった。
症例5:91歳、女性
高血圧にて通院していたが、平成3年6月より膝関節症の悪化から通院困難となり、定期往診となる。屋内生活は自立していたが、平成6年7月に下痢と嘔吐が続いてから、一時脱水状態となり臥床の日が多くなる。この頃より記名力障害や、先見当識障害などの痴呆症状が出現。9月に入り再び食欲不振、嘔吐等から脱水状態となり全身衰弱をきたし、歩行困難、臥床状態となる。7月の時点で、今後の悪化時の方針を息子と嫁と話合い、在宅のまま最期までという方針を確認する。ただし、嫁は介護疲れもあって、短期入院の希望もあったが、息子の強い意志で在宅の方向が決定された。9月以降も、頻回に胃液や食事の嘔吐を繰り返し、11月末の早朝に急死。
(問題点)
A.医療
1.消化器系の悪性腫瘍が疑われたが、積極的に入院検査を勧めるべきであったか。
2.末梢から、一日あたりの1000cc程度の補液はしたが、更にIVH等の積極的な方法を用いるべきであったか。
B.介護
1.60代の嫁は貧血と低血圧であり、痩せた虚弱な人で、一方患者は巨漢であったため、歩行の介助や入浴の介助などは相当な負担となっていた。息子は、介護にはほとんど参加していなかった。
2.嫁は介護の負担から、時々入院させたい旨の発言がみられたが、夫(息子)がなかなか納得しなかった。入院が無理ならショートステイだけでも行って、少しでも嫁の負担を軽くすべきであった。
3.近くに気軽に入院のできる病院があれば、7月の時点で入院精査としたかった。
C.福祉
1.夏場にADLがダウンしたこともあり、週2回は入浴サービスが必要であった。
2.日中は一人でいることも多く、痴呆の予防の意味からも、デイサービスヘ参加が望ましかった。 3.妻が安心して外出できるように、週一回でもヘルパーの訪問が望ましかった。
症例6:83歳、女性
上腕骨頸部骨折にて入院加療後、通院困難とのことで平成3年8月より定期往診となる。日常的には、ベッド上端座位、屋内介助歩行でADLは入浴のみ介助の状態であった。同居している夫は、自身も慢性気管支炎の病気があり、日常的には近くに嫁いでいる60代の娘が介護にあたっていた。週一回の入浴サービスと週一回のヘルパーの訪問が行われ、更に夕食の宅配サービスも二人分行われていた。しばしば風邪をひいては、喘息様発作を繰り返していたが、確定診断はされていない。上腕骨頸部骨折にて入院した病院(対岸から車で30分)より、不定期ながら訪問リハを受けていた。往診当初より近くに嫁いでいる娘から、今後は在宅で最後まで、という意向を受けていた。徐々に体幹の拘縮をきたし、寝返りや起き上がり動作に介助を要するようになっていた。平成5年12月下旬より咳、喘鳴が出現し、翌年1月始めに突然死した。
(問題点)
A.医療
1.喘息との診断が確定されてはいなかったが、これに準じた治療が必要であった。
2.体幹の拘縮をきたした頃に、早目にリハ目的の入院を勧めた方がよかった(娘の了解が得られなかった)。またこの頃に週一回程度の訪問看護も必要であった。
B.介護
1.60代の娘が、嫁ぎ先から日に1〜2回顔をのぞかせていた。洗濯や入浴介助などの負担はあっ
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