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第1回:医師による呼吸のしくみ、COPDの説明、薬物療法、
第2回:婦長による禁煙指導、役場保健婦による栄養指導、
第3回:看護婦による日常生活指導、排疲訓練
第4回:理学療法士による呼吸訓練、運動療法
第5回:病院保健婦によるピークフローメーターの使い方、在宅酸素療法であった。

講習は各担当者が東京都老人医療センター呼吸器科スタッフによって試作された「包括的呼吸リハビリテーション・スタッフ・マニュアル」を基本に他の本も参考にして資料をつくり、それにもとづいて行われた。

D.受講者の講習前評価

第1回目の講習時に「呼吸リハビリテーション評価用紙」を用いて、受講者の症状、日常生活自立度、服薬状況、禁煙、家庭環境、居住環境、通院方法、呼吸法・去疲法の知識、心理状況、認知能力などについて講習前の評価をおこなった。

E.講習内容の理解度の評価

講習内容の理解度を「呼吸リハビリテーション質間用紙」で評価した。質間用紙の一部を責料4に示した。質問は全間57間で、60点満点に設定した。各回の講習を始める前に、その日の講習内容に関する質間に答えてもらった。5回の講習が終わって翌週の評価会で同じ57間を再度答えてもらい理解度を評価した。

V.結果

A.受講率

受講希望者24例中、実際受講したものは15例(62.5%)であった。このうち講習全5回にすべて出席したものが6名、4回出席者が4名、3回出席者が2名、2回が2名、1回が1名であった。

B.受講者の感想・意見

5回の講習会が終わった翌週に評価会を開いた。7名が出席した。以下に受講者の感想・意見を示す。
「病気は医師が治してくれるものと思っていたが、自分でも勉強しなくてはいけない」
「今まで、自分の病気に無関心すぎた。もっと自分の病気に関心をもち医師まかせにしてはいけないと思った」
「自分の病気は自分で管理しなければならない」
「講習会があっても参加しようという気にならなければ何もはじまらない」
「同じ病気の人に講習会の資料をみせて勉強しようと考えている」
「呼吸法が一番勉強になった。経験することで理解できるし、実行して効果があったと感じている」
「食事のとり方について無関心であった。肺の病気で栄養管理が大切であるとはじめて知った」
「家族が同席してくれたら自分の病気のことを理解してくれただろう」
「足がわるいので出席が困難な人がいた。送迎があれば一番よい」
「講習会の時期は、農閑期の日中が良い。今回の時期と時間帯でよい」

おおむね、受講者は講習会を高く評価していると感じられた。また、病識をもつ上で役立っていると思われた。

C.理解度の評価講習内容の理解度を資料4の「呼吸リハビリテーション質間用紙」を用いて評価した。表2に結果を示した。全5回講習に出席した6名では講習前の平均点数は60点満点の38.7点(正解率64.3%)であったが、講習後は48.3点(正解率80.6%)へと改善した。

D.チーム・メンバーの包括呼吸リハ試行に関する評価

4回目の講習が終了した4月16日と評価会も含めて全日程が終了した5月10日の2回にわたりチーム・メンバーによる講習会の評価を行った。以下のような問題が指摘された。
「今回は栄養指導を役場保健婦が担当したが、栄養士が担当した方がよい」
「包括呼吸リハの指導方法についてスタッフ自身がまだ勉強不足」
「クラス方式による指導のために個別性にかける。理解力の個人差が大きいためにクラス方式で説明するのはむずかしい」
「今回の経験をもとに指導内容・方法などを検討し、今後も継続していく必要がある」

Vl.考察

今回の包括呼吸リハの試行は、受講者におおむね高く評価されるとともに、対象が高齢者であるためにその理解力に不安もあったが、講習内容の理解はおおむね良好と考えられた。

 

 

 

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