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することと、患者が医者に話そうとすることには大きなズレがあることに気づかされます」
---私たちの“みしょうの会”でも模擬トレーニングがあり、私も目の見えない患者の演技をしたことがあります。患者も勉強することが大事だと思いました。
「ぜひ佐賀でも模擬患者をつくりたいので、そのときは協ヵしてください。また、この際、お願いしたいのですが、患者さん一人ひとりが積極的に発言して医者を育ててください。役にたち信頼できる医者を、育てていってほしいのです」

患者さんによって医者も看護婦も励まされ育てられる


---最近、特に思うのですが、命は与えられたものだと。お医者さんに命を助けていただいて、あとは神が治すと。
「そうですよね。完治できずに、上手に付き合っていかなければならない病気が増えていますから。最近は技術の進歩で、以前はずっと入院していた呼吸不全の患者も、在宅酸素を使って家で暮らせるようになりました。その人が生きている現場から、医者が離れないことが大事だと思います。ところで、小林さんは、どういうことで医療ボランティアを〜」
---私は五回も手術をして、たくさんの方にお世話になりました。その方たちに「ありがとう」と伝えるのは、元気で生きる以外にはないかなあ」と思って。で、私にもできることをしようと,。でも、ボランティアといっても、こちらが生きる力など頂くことが多いんですよ。
「本当にそうですね。患者さんが返すほほえみや小さな感謝の表情に、医者も看護婦も励まされ育てられているのですから」
(編者注)佐賀新聞平成8年3月28日より


村民とともに

−病とともに人を診る医療の実践−
佐賀県三瀬村国民健康保険診療所所長 白浜雅司

ライフプランニングセンターでは、ホスピス運動や様々な講演活動を通して、“人間的な医療”の普及を目指しています。今月号からは、まさにそれぞれの地域で、人間中心の医療を展開している方々を紹介させていただきます。

三瀬村は佐賀県と福岡県との県境にある人口1,800人の山村です。産業は農林業中心で、65歳以上の高齢化率が20%を超えた過疎の村ですが、近年はどんぐり村(自然や動物たちとのふれ合い施設)、観光農園、北山湖、県民の森、ハーブ園、4月オープン予定の温泉など観光事業にもカを入れています。私がこの村で唯一人の医師として働き始めて一年が過

 

 

 

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