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新聞に報じられていました。患者がはっきりわかるように薬の説明をしていただきたいのです。副作用も、出る前に説明してほしい。

リハビリとは“全人間的復権”その人が全体性を取り戻すこと

「どんな薬にも副作用があります。そう思って飲んだ方がいいですよ。もちろん、医者が、よく起こる副作用については前もって説明しておくことは必要ですが、患者さんも、飲んでいて“おかしいな”と思ったら、それを医者に言ってください。それを言える医者との関係であることが、一番大事です」
---複数の病院にかかれば、薬の数も種類も増えます。薬同士の副作用も怖い。
「患者さんには、ほかの病院からの、薬を含めた紹介状を書いてもらってほしいのですが、それが難しいときは、もらっている薬だけでも持ってきてください」
---カルテをくださると一番いいのですけれど。
「要求されれば見せることはできますし、最近“医療記録の開示をすすめる医師の会”ができたようですね。しかし、果たして、どれくらいの医師が患者が読めるカルテを書いているのかなあ。診察しながらポイントを書きなぐっていますからねえ(笑い)」
---退院のことですが、もう少し入院させてもらいたいと思っていても、退院や転院をさせられるときの患者の不安感を理解してもらいたいのです。
「確かに、以前と比べて入院期間が短くなっています。これには医療コストなどの影響もあるでしょうが、患者さんは“体はよくなり ましたよ”と言われても、気持ちはまだ回復していないのですよね。そんなときに相談にのれるソーシャルワーカーやカウンセラーが、制度として確立されているといいのですが。リハビリという言葉がありますね。あれはもともと“全人間的復権”ということだそうです。つまり、その人が全体性を取り戻すこと。右手が駄目なら左手で、足が駄目なら松葉づえで動けるようになれば、全体として、その人の力は回復している」
---社会でいえば、一人ではできなくても、ホームヘルパーや訪問看護の手を借りての自立ということですね。
「そうです」
---そう考えでいけば楽ですね。ボランティアもサポートの一つだと。ところで最近、インフォームドコンセント(医師が十分に説明し、その上で患者の意思を反映した医療をすること)が大事だと、よく言われます。でも、言われる割には、医師と患者の話し合いなど、なかなかうまくいっていないように感じます。
「その原因の一つには、医学教育の中で、患者とのコミュニケーションについての訓練が十分でないことが挙げられると思います。大阪に“コルム”という、良い医療をめざして活動している市民団体があります。単に現在の医療に不満をぷつけるというのでなく、具体的に良い医師をつくろうという働きをしているのですが、その一つとして“模擬患者”の活動があります。3年前から、佐賀医大の授業のコミュニケーショントレーニングの授業にも参加してもらっているのですが、学生に問診をさせますとね、学生が聞き出そうと

 

 

 

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