
に潰れてしまってはまったく何もできないのであるから、効率的な運営は重要であると思う。
田沢診療所がいかに必要とされているかは、レセプトからも知ることができる。確かに毎月のレセプト枚数は約200枚しかない。しかし、これは地区住民5人にひとりは毎月かかっていることになる。さらに寝たきりの人などいわゆる交通弱者は、人口が減っても、今しばらくは増え続けるという状況にある。慢性疾患の患者が多い中では、たとえ診察日が減っても、診療所を維持することが重要だとあらためて認識させられる。
24時間体制がとれない環境を補うものとして、私たちは田沢地区の在宅患者について次のような工夫をしている。
1.保険証番号から家族構成まで含めた診療録の写しを町立病院へ届けておくこと
2.家族機能を評価すること
3.緊急時の対応の仕方を家族に指導することである。
冒頭の症例が、もし医師不在時のできごとであれば、ご家族が町立病院まで担送し、町
立病院で緊急対応していた筈である。それでも在宅希望者であれば、できる限りご自宅で過ごすことができてよかったと言えるのではないだろうか。
町では過疎が進む田沢地区ではあるが、高齢化が進み、交通弱者が増えることから、慢性疾患、common diseaseに応える田沢診療所が今後20年は必要であると考え、来年度に、古くなったレントゲン器械を買い変えることにした。
診療所の役割を基礎に思えばこそ、限られた資源(人、金)を有効利用し、経営を改善することができた結果であると考える。また、経営改善により、さらに医療を供給し続けることができることになったといえる。今後は病院との連携のとり方を含めて、合理的な経営と患者にとっての医療の近接性、継続性が両立できるようさらに考えていきたいと思っている。
(自治医大第6期生田沢湖町神代診療所〒014-11秋田県仙北郡田沢湖町神代字野中清水216-4)
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