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する言葉遣い、接遇をはじめ勤務態度の細かいことまで注意し研修もしました。

訪問看護・診療の実施

93年10月に訪間看護・診療を開始しました。訪問看護の担当者として、臨床ができ、なおかつ保健や福祉との連携がとれる保健婦を採用しました。現在の対象者は27人です。このうち17名が在宅酸素療法をおこなっています。

保健・福祉との連携

全国的に保健・福祉・医療の一体化が問われています。確かに、医師が熱心な地域ではうまくいっているようですが、ただ医師が熱心であっても、保健や福祉の側がついていけないということもあります。
私たち医療従事者は個々の患者の具体的問題がよくわかります。その問題を解決するためには、こうして欲しいと保健や福祉に提案するのですが、なかなか前進しません。
例えば、一人暮らしの高齢者がいます。この人は入退院をくりかえしています。この人の問題は、病気ではなく、自分で食事をつくってきちんと食べないということなのです。食べないために、低栄養と脱水におちいり入院となるわけです。退院しても同じことをくりかえします。こういう例を解決するためには、食事の宅配サービスとか、頻回の家庭訪間とか、独居老人のケアハウスとか、が必要になってくるわけです。保健や福祉は、いままで病院がそのような人たちを社会的入院として抱え込んでいたために問題認識がなく、急に在宅でケアするためのシステムを求められてもとまどうわけです。
高齢社会に対応するためには、最終的には保健・福祉・医療の垣根をとりはらって個々の問題に即応できるような体制をつくることが急務と思います。私たちの町では保健・福祉・医療の関係者が一堂に会して、「高齢者サービス調整チーム」を2年前から月1回もっています。そして、どのような問題があるのか共通の認識をもとうと努力しています。また、一年前には機構改革をふくむ保健・福祉・医療のあり方を検討・推進する「高齢者サービス推進検討会議」が助役を長として発足し毎月開かれています。

地域への広報活動

3年前より、町の広報誌に「病院だより」を毎月書いています(次頁参照)。病気のこと、検査のこと、薬のこと、その時々の思いなどです。病院が何をしようとしているのか、私白身が何を考えて病院を運営しているのか、といったことを住民の方に知ってもらいたいためです。それも、病院に来てない方に読んでもらいたいと思い書き続けています。

おわりに

過疎が進む中で病院を黒字にすることは容易ではありません。せめて自分たちの税金で赤字を補充してもよいと思ってもらえる病院をつくりたいと考えています。歩みは遅くとも持統こそ力と思ってやっています。
(本文は96年2月、雑誌「病院」に掲載された内容を抄録し一部加筆したものであります)
(大樹町立国保病院〒089-21北海道広尾郡大樹町暁町6)

 

 

 

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