日本財団 図書館


が、タクシーでの応対であり、ホテルでの応対であり、そういうところが地域の顔になるわけですから、まさに情報の発信基地の最先端にいるのだという意欲をもって、従事者の研修に努めてほしいと同時に、意識改革、その人たちは大変大切な仕事をしているのだということを周りも認め、その人たちも誇りに思えるような、そういう制度ができないかと思っております。先ほど、タイのほうでは学校をつくったという話がありましたが、そういう資格制度があってもいいのではないでしょうか。これは、私が観光・物産関係に携わって以来ずっと感じていることを、この際に申しあげました。
●阿部 ありがとうございました。では、続いて清水さんにお願いします。
●清水 関西を捉えると、結構元気だと思います。特に大阪は「ビジターズ・インダストリー」ということで磯村市長を先頭に、観光政策をもう一度見直しながら戦略論として進めていこうとしています。観光だけではなく、ビジネスのお客さんも取り込んだうえでの新しい「ビジターズ・インダストリー」というものを構成していこうというものです。これはたぶん大阪の2008年オリンピック誘致までつながるし、もうすでに現状ではロータリークラブ、ライオンズクラズの世界大会の大阪開催が決まっています。また東アジア大会は2001年に行われるということで、そういう仕掛けが非常に進んでいるわけです。
今日、大商の大西会頭も来ていらっしゃいますが、商工会議所も観光振興委員会というのを発足して、阪急電鉄の小林会長が委員会の旗を振って本格的にやっていこうとしています。また、大阪市としてボランティア組織をつくりあげながら、近松門左衛門とかそういった歴史的素材を、新しいシナリオでビジュアルに表現していこうというプロジェクトが動いています。
来年は、奈良で朱雀門が完成します。残念ながら上に登れないのですが、これはなかなかすばらしいものです。また、万葉ミュージアムという大きな施設もできる予定です。上原さんのお話のように、滋賀県も非常に広がってきています。イベントを仕掛けて、うまくPRしたら人は来るのです。そのあたりの連携がどうもできていないし、しっかりした商品も、民間サイドでつくり、さらにその連携強化の場みたいなものをもっとつくらないとだめでしょう。「ウェルカム大阪フォーラム」というのを大阪でつくっております。そういったものをもっと拡大してつくらないといけない。どうも何かそのへんの一体感がないと思います。
二点目は、ネイツビッツが21世紀の基幹産業は観光産業であるといっている点です。全世界の人口の10%が観光作業に従事するという状況のなかで、観光産業に従事するフィールドのすそ野がばらばらになっています。行政担当者の関心が得られない理由が三つあるといわれています。
一つは、産業の明確な定義がなされていないということです。二つ目は、海外に行きますとチップを10%払わなきゃならないので、あれが地下経済をつくっていて表面に現れてこないので、どのぐらいの経済効果があるか読めない、産業としての数字がよく読めないということ。また、各国の統計制度が非常にちぐはぐになっているということです。ですから、何十万人とか何億ドルとかいう数字がどうもはっきりしないということがあるので、これからはAPTECとかWTOの役割が重要になってきます。そのときには、民間の産業サイドのメンバーもその数字をきっちり出していかないといけないのではないかということで、そういった一つの大きな産業としての流れをつくる必要があるのではないかということです。
三つ目は、民間ではできないけれども、産業訪問とか企業訪問とかを公的に受け入れるようなコーディネーター組織が必要です。民間サイドからいうとあまりお金にならない、お金が動かないものを紹介するのはなかなか大変なのです。これからは、産官学民合わせてそういうものもつくる姿勢がなければ、こういう基盤はできていかないのではないかと思います。
●阿部 ありがとうございました。お三方とも話せば話すほど、何かこうしたら違う展麗が見えるのではないかと何かイライラしてくるようです。イライラするというのは問題が熟してきている、課題の整理が進んできている。したがって、ある解決の方向性も少しずつ絞られつつあるのだというふうに前向きに考えたいと思っております。
会場の皆様も、1時からただいまの5時まで、長時間じっと黙っていらっしゃるというのは非常に苦痛だろうと思うので、この場で、この3人の方にご発言いただきましたことに対して、何らか会場

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION