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ということが重要なのではないかと思っております。とくに関西の鉄道のネットワークというのは、世界に類を見ないものだと私は思っておりますので、ぜひいい競争と協調の関係をこれから構築していきたいと思っております。
それから、具体的な商品の話になりますが、まず、マーケティングというほどのものではなく注目したいことは、欧米人は夏休みを長くとるということです。夏というのは、とくに歴史的な都市にとっては閑散期です。ですから、夏にしぼってある程度長期のものも含めた欧米人向けの旅行、これを一つ考えていかなければならないのではないかと思います。それから修学旅行のお話が出ましたが、やはり韓国から、とくに奈良に修学旅行を呼びたいという思いを私どもはもっておりまして、来年度、おそらく向こうの校長先生などを集めた会を、奈良県などと一緒に韓国でやっていくということになっていくと思います。
台湾に関しては、日本人とだいたい同じように、国内感覚で旅行されているという面がありますので、これは大きな都市でないところでも十分チャンスがあると思います。日本人向きの旅行を向こうに売っていけば、それで結構戦えるのではないかと思うのです。ただし、今は情報が非常に限られております。台湾版の『ブランカ』という旅行雑誌を見ますと、日本のぺ一ジは非常に少なくなってきている。少ない中でも関西は全然ないのです。あるのは「富山から○○に行って△△に行く」とか、日本人でもしないぐらいの、エネルギッシュな凝った旅行をお好みになる方がまだまだ多いようですので、これは県別にいろいろなルートをつくるとか、県境を越えて2府県、3府県で何か考えていくとか、そのように情報さえうまく発信すればそれなりの成果は出てくるのではないかと私は思っております。
●阿部 ありがとうございました。続きまして、上原さんお願いします。
●上原 今回はお願いの話にしたいと思っております。とくに、観光産業に携わる方々にお願いしたい、ぜひ力を貸していただきたいと思っていることが、地方自治体におりますと始終あります。それは、財産の認識へのお手伝いをいただけないかということです。そこにずっと住んでいると、これがよそから見てどんな価値があるものかということが見えなくなっています。ですから、よその地域から「こんなすてきなことをあなた方はおもちなんですよ。これをこのように磨いたらもっといいんじゃないですか。そのためにこういう施設が必要ですね」などというアドバイスをいただく。そういう財産認識のお手伝いということをしていただけないかと思っております。
これはプロの目でお願いしたいのです。ずいぶん前のことですが、東京のある百貨店が滋賀の物産展をするときに、6ヵ月ぐらい県内を歩かれまして、大変熱心に調査をされました。それぞれの特色ある商品を見つけ出して、それでちょっと足りないところを、「このパッケージのここの部分を、こうしてくれれば東京にもっていけるんだがな」というような言い方で商品化のお手伝いをしていただいて、大変洗練された近江物産展を開いていただいたのを覚えております。そんなことをやっていただければ、まだまだ各地に、これは何も関西だけではないと思うのですが、眠る財産がたくさんあると思っております。
それからもう一つは、いろいろなことが起こっておりますが、それを情報化する手だてというのが地方にはありません。マスコミもどちらかというと、マスの情報をマスに対して売るということで、ミニの情報ですばらしいことがあってもそれを情報化するということはあまり得意でないようです。これは何も観光産業に携わる人だけではありませんが、情報化発信へのお手伝いをしていただけるとうれしいと思っております。歴史街道のほうで井戸さんもずいぶんご貢献いただいていますが。
それから、これはどちらがどうということはないのですが、まちづくり側、つまり自治体側、それと観光産業との連携をもっと密に細かくする必要があると思っております。まちづくリ側からは、「こんなものが実はうちのまちにあるんですよ」ということをいう必要があるし、観光産業のほうは「それはこうしたらいいのではないか」というように、先ほどの財産の認識のお手伝いの場といいますか、そんなものがほしいと思います。場合によっては、形式的にはあるのですが実質的にはなかなかできていないというのが実情のような気がしております。
それから3番目に、そういうことができる従事者をたくさんもっていただきたいと思っております。いろいろな地域の観光の窓口の最初の顔になる人

 

 

 

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