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の問題があり非常に厳しい問題です。「面白いから1泊ぐらいはいい」ということはいうのですが、やはりホテル設備等がない限り国際化が進んでいかないということがあります。5番目は、もっと構造的なことです。ビジネス需要が減ってきているということです。これは対日投資が減ってきていることもあって、ビジネスのお客様がなかなか来なくなっているということがあげられます。
以上のように、日本の構造的な問題も含み、やはり問題があるのだということをよく認識していかないと、交流の基盤整備の問題については語っていけないだろうと思っています。
実は、日本に来られる方でいちばん多い国は韓国なのですが、昨年で100万人ぐらい来られました。これは対前年で4.9%のマイナスです。しかし韓国から出ている旅行者数は、年間で今380万人ぐらいです。それは対前年で21%増えているわけですから、やはり日本からはなれていることは間違いない。この最大の訪日国の韓国から来られる方のほとんどは、リピーターです。比率にすると70%です。大都市に住んでいて、やや若い方で、高学歴、高所得の方が中心となっています。いちばん見たいのは何かというと、先端技術と先端産業です。これがいちばんに見たい。その次に歴史遺跡で、それから日本人にふれたいとか、都市の魅力とか、最後に温泉に入りたいというような話なのです。ところが、この先端産業そのものは、日本は産業観光を促進しようといいながらなかなかうまくアポイントが取れません。これがもう少し広がると、韓国からは増えてくる可能性が極めて高いということが一点目にあります。
それから次は台湾なのです。昨年、第2位の49万人、約50万人ぐらいで、これも26%減っています。台湾は、518万人が海外に出ていますので、これは対前年9%増です。これもやはり日本とは違うところに行っている。台湾から日本に来ると、だいたい5日間ぐらいで十数万かかるケースがあるという話なのです。アメリカに行っても十数万ぐらいで行けるそうなので、やはりそこでどちらに行くかというと、アメリカに行ってしまうということになるのでしょう。台湾の旅行者は極めてハイテクな遊びがお好きだという特色があります。東京ディズニーランドなどがそうかもしれません。また北海道の雪まつりだとか、桜とか紅葉とか、そういった季節感にものすごく敏感だということです。買い物をするときは必ずオーディオとハイテク製品を買って、大阪の道修町でビタミン剤を買い込んで、最後に空港で果物を買って帰るというパターンなのです。日本のいわゆる買い物、ショッピングのパターンとはかなり違うので、そういったことも研究していかなければなりません。ですから、マーケティングの研究が大事です。
ちなみに、日本食で冷たいものはあまりお好きではないということなので、できるだけメニューの中に温かいものをそろえたいということもよくいわれます。
そこで私どもは、とくにこれから増えていく中国やアジアに対して次のように商品展開していきます。
まずつくろうとしているのは、テーマパークとイベント関連商品、これを完全に売り込んでいきたいと思っています。具体的にいうとハウステンボス、シーガイア。また、大阪にUSJができればかなりのボリュームで、850万人から最高1,200万人がおそらく来るであろうといわれています。そういったハイテクテーマパークとイベント関連商品というのをいちばんにつくらなければなりません。2番目に、地方空港が非常に活発になっているので、それのチャーター商品をつくって価格を安くしながら日本に誘致をしていくということ。レギュラーフライト以外のところでそういうものをつくっていきたいということです。
3番目は、産業見本市とか展示会とか、やはりビジネスにからむ商品、そういったビジネスプランというものもつくっていきたいと思います。4番目は、韓国から修学旅行をぜひ誘致したいと思っています。
それから、外国人がゆっくり利用できる個人パッケージに、上原さんがおっしゃるような地方自治体の国際交流プログラムをうまくかみ合わせた商品。いわゆる国際交流プログラム関連商品みたいなものはつくっていく必要があるのではないかと思っています。特にこれからは、円高に負けない斬新なマーケティングということと、先ほどビデオでオーストラリアの紹介がありましたが、日本に対する新鮮なイメージ、練られたキャッチコピーといったものをぜひつくる必要があるのではないかというように思っています。
●阿部 今後のインバウンドを高めるための、戦略的な旅行商品の開発の基本方向までかなりふ

 

 

 

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