後、タイの観光産業はまだまだ伸びていくと思います。ソフト面で、今後も優秀な人材がまだまだ必要になってくるかと思われますので、私どもはあらゆる協力をしていきたいと思いますし、またわれわれの義務でもあるかと思います。私どもには幸い学校がございますので、そこで日本の文化等も教えていきたい。私も時間がある限り各ホテルに行きまして、日本の方はどういうサービスを望まれているかということをスタッフを集めて話等をしております。

そういうことで、われわれホテル業界でいちばん旅行に必要なのは、タイのホスピタリティーを前面に出しまして、お客様をお迎えするようにしていきたいと思います。簡単ではございますが、どうもありがとうこざいました。

●阿部　ありがとうございました。近年、観光客の流入が著しいタイの観光動向、そのなかで実際にビジターズインダストリー、ホテル事業にお取組みの貴重な経験をお話いただきました。続きまして、国内で非常にユニークなといいますか、他に先駆けてインターナショナルヴィラという県の事業を展開していらっしゃいます山上さんに事例の報告をお願いします。

●山上　本日の私の事例発表は、まず国際ヴィラの概要についてご説明したあとに、国際交流ヴィラの運営を通じて、本日のテーマでございます国際観光交流について何か皆さん方にヒントになればというようなデータを紹介する。この二点にさせていただきます。なにぶん行政の仕事なものでこういった舞台に立つことは不慣れなので、きちんとした知識を得ていただくために、皆さんのほうにはヴィラの概要につきましての資料をすでにお配りしております。この資料に基づいて説明させていただきます。

まず、国際交流ヴィラとは何かということです。今ご紹介いただきましたように、県が建設して地元の市町村が運営する外国人専用の会員制宿泊施設です。建設の経緯ですが、すでに引退が決定しております岡山県の長野知事の発想で、昭和61年から整備を開始いたしまして、昭和63年5月に第１号が完成し、3年間のあいだに六つ作りまして、これを一つの国際交流ヴィラグループとして一応の完成を見ております。設置の目的ですが、資料に書いてありますように、「外国人が低廉な料金で宿泊できるユニークな施設を県内に整備し、岡山を気軽に訪問できるようにする。
訪問する外国人は、古い歴史と日本的ふるさとの風情を伝える岡山の各地において、日本の自然、文化、伝統的な生活に直接触れて、日本と日本人に対する理解を深めることができる。地元住民は、地域で実施される交流イベントや外国人とふれあう日常生活の場面で、自然な形で交流を行うことができる。こうした交流を重ねることにより、国際親善と国際理解を深めることができる」。これが設置の目的です。

施設の概要につきましては一覧表にしておりますが、六つございます。最初の吹屋ヴィラは新築なのですが、この地方は1000年も前から銅山として栄えてきたまちですが、たまたま急激な高齢化、過疎化が進んだためにそのまま町並みが残っておりました。これは都市計画で伝統的建造物群等保存地区に指定されておりますが、そこに江戸時代後期の醤油蔵をそのまま再現した形で泊まっていただくということでオープンしました。次の越畑も、急激な過疎化と高齢化のために茅葺きの民家が残っておりました。これを県のほうでふるさと村に指定しまして、無人となった茅葺きの農家を県で改築して宿泊施設にしました。
牛窓は新築なのですが、洋風の建築で、日本のエーゲ海と呼ばれております牛窓地域におきまして瀬戸内海を望む大きなガラス張りのテラスのある建物です。4番目の八塔寺は、茅葺きの民家を県のほうで改築して、外国人の宿泊施設として利用しておリます。5番目の建部というところですが、ここは温泉地でして、町が温泉会館を建てるにあたりまして県のほうがヴィラの部分を負担して、併設した感じでつくっております。ですから、ヴィラに泊まられる外国の方は町営の温泉に無料で入れる仕組みになっております。ここは温泉といいましても川のそばに2,3軒温泉旅館があるだけで、歓楽地的な温泉ではありません。白石島は唯一市の中にある国際交流ヴィラですが、ここは離島で、高齢化、過疎化が進んでおります。

次のぺージにいきますと、「県全体の地域的なバランスを考慮しながら、個性と特徴を備えた場所を選定し」となっておりますが、お手元にパンフレットも配らせていただいたのですが、1枚めくると岡山県の地図とそれぞれの配置のバランスがわかるような地図がついております。われわれはそれぞれの市町村に管理をお願いしているのですが、一つのシステムとして運営をしております。この

前ページ　　　目次へ　　　次ページ