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し、ともに国内の外国の旅行者に合う旅行商品というものをつくり出すということが必要でしょう。それによって価値の高い、また柔軟性の高いパッケージ商品をつくり出すということが先決かと思います。また、ブランドをサボートするということでは、広範なPRキャンペーンを打つということ、ジャーナリストプログラムも非常に役に立つかと思います。それによってマイナスのイメージを是正することができると思うのです。
例えば、日本にもいろいろな長所があります。非常に美しい国ですし、西欧人にとって神秘的な印象がありますし、日本の文化、食べ物というのは非常に魅力的です。オーストラリアが自然の景観をそうしているように、これらを日本の観光の目玉商品としてもってくることも必要でしょう。また、非常にインフラが整備されていて、交通手段もホテルも質が高いということ、これも大きなメリットです。また、以前は日本の値段は高いということでしたが、今はそうではないと思います。実際に日本と同じぐらいコストが高い国は数多くあります。ですから、何とかこういったマイナスの見方というものをできるだけうまく比較をすることによって、間違った見方を徐々に減らしていくことが必要ではないでしょうか。また、日本の人々は非常にフレンドリーで親切です。だいたいが日本から海外への旅行者用のものであるとしても、日本は、世界各地へ行くにも航空路が発達しています。これも大きなメリットです。それから航空会社とディスカウントの交渉を行いますと、日本で休日を楽しむ場合に、オーストラリアからの人々にとっても非常にいいオプションが出ると思うのです。創造的なパッケージツアーをつくることによって、旅行者が日本の国内で使うコストを少し相殺できるような助成ということも考えられるのではないでしょうか。
オーストラリアと同じようにいろいろな課題があると思います。日本も島国ですし、最大の市場であるヨーロッパやアメリカからも孤立しています。しかしまた、神秘的なイメージがあります。これは、日本にとってもオーストラリアにとっても一つの大きな魅力だと思いますし、マーケティングするうえで大きな利点です。日本というのは、どうも旅行客の目的地としては限界があるという、独自につくったイメージがあると思うのです。これは決して大きな障害ではありません。日本人自身がつくりあげたイメージですから、何とかこの障壁を取り除く必要があるのではないでしょうか。そして、今後オーストラリアと同様にインバウンド旅行が日本国内の経済にとって重要な役割を果たす日が来ることを楽しみにしております。やはり、双方向の観光ということが重要でしょう。ぜひとも、日本にも強力な国内旅行部門がいつかできてほしいというように考えております。どうもご清聴ありがとうございました。
●阿部 ありがとうございました。昨今、わが国もとくに若い方を中心としてオーストリアヘの旅行熱というのは非常にブームになっております。それも、今のお話をうかがいますと政府、民間が一体となった10年以上におよぶ戦略的な取組みの結果であると思います。とりわけ印象深かったのは、ポジティブな面を前面に押し出す。そして徹底的な調査を行う。そして地域別、あるいは観光客のニーズに合わせた情報提供やキャンペーンを行っていくという非常に戦略的なものの成功の上にオーストラリアというものの再認識を行っている姿がよく理解できました。どうもありがとうございました。
では、続きまして、ASEAN諸国の中でも非常に発展を遂げておりまして、そのなかで観光振興、あるいはインバウンドということでも非常に力を入れておりますタイにありまして、ホテルの次席副社長という職務に就いていらっしゃいます古賀さんからプレゼンテーションをいただきます。お願いいたします。
●古賀 タイからまいりました古賀でございます。このようなシンポジウムにお招きいただいてお話ができることを非常に感謝いたしております。
本日はタイの観光についてお話しいたしますが、タイは過去にはお米の外貨獲得額がいちばん高かったのですが、途中から観光収入がずば抜けてトップになりました。昨年のタイヘの訪問客総数は695万人になりまして、前年よりも12.73%の増加になっております。とくに陸続きということもありますが、アジアからの伸び率が非常に多くなり、17.8%の伸び率で、695万人中の435万8,000人がアジア地区からの観光客です。とくに目立って伸びておりますのが中国からですが、47.2%の前年比伸び率を示しております。もちろん日本からも増えておりまして、17.78%増の81

 

 

 

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