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〔脇坂先生〕
 次に庫本先生ですが、私、実は昨年になりますか、隣の韓国の釜山の街を、ちょっとゴミを見て歩きましたところが、公園に行きましても海岸線にもゴミが全く落ちてない。非常にきれいなんですね。ダムにもゴミーつ浮かんでおりませんし。で、案内してくれました韓国の主婦に「どうして、この釜山の街では、街にゴミが散乱してないんだ」ということを尋ねましたら、彼女日く「ゴミを捨てるのを他人に見られたら恥ずかしい。そういうふうに子供達に教育している」と、こう言われまして全くドキッとしたわけでございます。
 庫本先生、環境教育というのはいろいろあると思うんですけれども、社会教育、あるいは家庭教育における環境教育というのは、今後どのようにあるべきなんでしょうか。
〔庫本先生〕
 今、この我がふるさとは大変すばらしい。昔の山口も大変すばらしかった。宇部もすばらしかった。だんだん時代が新しくなってくるにつれて、環境問題が起こってくる。これは一体何なのかということ。人間が文明を、我々の快適な豊かな暮らしをするための文明を一生懸命切り開いてきた。こういう立派な施設をつくって温かい部屋で議論できるのもその一環ですし、自動車で快適な暮らしをする。あるいは、今脇坂先生が言われました缶ジュースがどこに行っても飲めるという、これも我々の切り開いてきた文明ではないだろうかと。それが、すべて今の環境問題をつくり出してきているわけです。
 だから、秋吉台の自然を壊さずに利用しようと。つまり環境を壊さないような文明をつくらないといけないということ。そのためには、環境教育というのがとても大切なんだということ。脇坂先生は川の専門家でして、川に行く。私も先日来、随分川に入りました。水が流れておりますと、缶があったり、あるいはビニールのシートがあったり、それよりも何よりも石ころの上にぬるぬるがついてて、すべり転ぶような気がする。だから、子供に「まあ余り水の中に入りなさんな。」と、こういうような言い方をしないといけない。これは何かというと、結局水の中の有機物をバクテリアが一生懸命で分解しているわけですが、その証拠なんですけれども、非常に水の有機物が多くなってきている。
 これも結局は私達の生活の仕方が、食べ物が豊かになって、そのまま川へ捨てたり、洗濯を毎日毎日、何回も何回もやってて捨てたりというのが全部川に集まってきて、今の時代を引き起こしてきた。ですから、この文明そのものをやはりもう一回元から考え直して、川を美しくするような文明を我々自体が切り開いていく。みんなで議論しながら、少しでも捨てるものを少なくするような、子供達に缶を捨てないように。

 

 

 

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