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34年にできまして、私がそこにまいりまして、自然の研究、コウモリを中心にして洞窟の中に住んでいるコウモリを調べたりしておりました。やがて、秋吉台の自然の保護という問題に取り組みましたが、保護をしていくためには、ただ単に保護をやっていただけでは駄目だということがわかり山口大学に以前鈴木善次先生という先生がいらっしゃいまして、この先生が環境教育というのをやっておられましたので、その仲間に入りまして、約20年ぐらい前から環境教育の勉強を始めまして、現在に至っているわけでございます。
 そういう意味で、今日、ここにパネラーとして皆様の前に出てきたわけでございます。
 実は秋吉台の自然というのは、あそこに私もう30何年間住んでおりまして、じっと自然を心で感じながら見ておりますと、本当に自然のすばらしい姿が次々と見えてくるわけです。ちょうど今頃では、草が、緑色の根笹の笹の色が緑からずうっと黄色に変わっていく。その間に、もう微妙に実に様々な色を経て黄色になっていくわけです。もう1週間ぐらいたつとそういう時期になるかと思うんですが、全山黄色の濃い色にがっと染まるという、そういう一日がございます。そして、やがてそれが白っぽい茶色に変わっていく。その後に葉が真っ赤になっていくわけです。どんどんどんどん色が変わってまいります。それをよく見てみますと、本当に心が震えるような、そういう感動がございます。それを見るのは一番いいのは実は夜明けの頃なんですが、夜明けになりますとあそこは霧が立ちまして、雲海ができる。それが一年に1回ですけれども、高くなっていくと今度は秋吉台の上を霧が川のように流れていく。そういう場面に出くわして、わあって大変驚いて「霧の川」という名前をつけたりして、人に話していきますと最近はだんだんだんだんたくさんの人が見にくるようになりました。朝5時半ぐらいには北山といって長者が森の上の森にはカメラの放列が並ぶという状況になってまいりまして、大変すばらしい風景でございます。
 もうしばらくしますと、冬枯れになります。そうすると全く音がなくなってしまう。いわゆる無言の世界というそういう世界ができます。
 山焼きもすごいですね。バチバチという本当にすごい音とともに、もう特有のにおいが、煙の、草の燃えたにおいというのがあたりを支配しまして、本当にすばらしいわけですけれども、こういうように一年じゅう次から次へと自然が変化していく、その姿を見ておりますと本当に感動することができます。
 ところが、観光客がどっとやって来て、真ん中に道ができていくと、そうすると最近は若者達は自動車でぱあっと、オートバイでびゅうっと、本当に100キロを超えるようなスピードで通り抜けていくわけですが、もうそのすばらしさが一遍で吹き飛んでしまうという、そういうようなことを感じまして、これは何とかしないと駄目だぞということになりました。

 

 

 

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