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7 おわりに
国立社会保障・人口問題研究所が平成9年1月に発表した日本の将来人口推計では、2006年には高齢化率が20%を超えるとされ、2025年には27.4%、2050年には32.3%になると推計されている。こうした人口の4人に1人、あるいは3人に1人が65歳以上という超高齢社会では、高齢者を中心とした政策形成が必要であり、これまで身体的、経済的弱者としての高齢者に対する保健・福祉施策を中心とした高齢者対策は、大きな方同転換期を迎えることになる。
もちろん、援護を要する高齢者に対しての保健・医療・福祉の充実は必要であるが、これまで以上に、相互の連携に基づく介護から社会復帰に至るトータルケアを、一人一人のニーズに応じて効果的に提供する総合的なシステムづくりが必要となる。また、身体的に健康な高齢者に対しては、社会構成員の一員として、高齢者自身が有する豊富な知識と経験を地域社会のために活用していくことを念頭に置きながら、社会参加のためのきっかけづくりや多様な活動を直接的・間接的に支援するための制度の充実が求められる。さらには、高齢者の都心居住の促進といった高齢社会における都市機能のあり方についても議論を進めることが必要である。
高齢化の進展については、医療費の増大、年金制度の逼迫、経済活動の停滞なと、とかくマイナス面が強調されがちであるが、むしろ高齢者の活力をまちづくりの推進力に変え、誰もがいきいきとうるおいのある生活を送ることができるよう、今から真剣に考えていかなければならない。

 

 

 

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