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より一層活動を活性化できるような「条件づくり」、また、行政や関係団体、公民館等の公的施設、社会貢献に取り組む企業など幅広い「ネットワークづくり」を支援するための施設として、平成10年度を目途に、ボランタリー総合支援センターの整備を進めている。
(3)今後の課題
平均余命の延びた現在の高齢者には、身体的に健康であり、社会参加意欲の高い人も多い。豊富な知識と経験を有する高齢者の能力を社会的に還元していくことは、高齢者自身の生きがいにつながるとともに、少子化の進展に伴って将来的に予想される生産年齢人口の減少に対する経済政策的な観点からも重要なことである。
しかし、高齢者の雇用という面ではまだまだ不十分であり、広島市が平成8年度に実施した「在宅高齢者基本調査」においても、身体的に健康な在宅高齢者は9割を超えているのに対し、自営を含めて就業している高齢者は25.5%に止まっている。今後、高齢者を活用する企業に対する助成制度の整備・充実等を含めて、国・事業者への働きかけが必要である。
また、高齢者自身の能力開発も重要な課題である。(社)広島市シルバー人材センターにおける会員の希望職種と実際に就いた職種を対比すると、植木・造園等の技能系職種については希望する会員数に比べて受注が多いのに対し、事務整理や宛て名書き等の事務系職種については希望する会員数に比べて受注が少ないという傾向が見られる。センターでは、今後増加が予想される事務系退職職員の就業開拓の方策を検討するため、平成6年度から「事務系職種就業開拓推進会議」を設置し検討を重ねているが、就業分野の開拓にあたっての基本方針の一つとして、さまざまな就業ニーズに対応できる会員育成を挙げており、高齢者の能力開発・技術習得のための方策が必要となっている。
余暇時間の増大により市民のライフスタイルは変化していると言われるが、先に述べた市民アンケート調査によると、60歳代以上では1日平均6時間以上の自由時間を持つ人が最も多く、その時間の大半は「テレビ・ラジオ」と「家庭のだんらん、家族とのつきあい」に使われている。一方今後の余暇活動の希望としては、「地域や社会のための活動」、「将来役に立つと思うことの学習」などの割合が高齢者ほど高いのも事実である。余暇時間の有意義な活用は、高齢者自身の活力を高め、寝たきりや痴呆などの防止にも効果的であることから、今後、高齢者が積極的に社会活動に参加できるようなきっかけづくりや情報の提供などの施策の充実が必要である。
 

表3 在宅老人の健康状況(平成8年)

 

 

表4 在宅老人の就業状況(平成8年)

 

 

 

 

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