日本財団 図書館


(2)生涯的な保健医療体制の確立
次に「生涯的な保健医療体制の確立」の分野であるが、実態調査の結果では、高齢者のスポーツや健康づくりの会への参加は低調な状況にある。また、拡充を希望する保健・福祉サービスでは、訪問看護・医療サービスや老人保健施設の拡充希望が高率となっており、ニーズに対応できるサービスの整備がまだ十分とはいえない状況にあることを示している。
老人保健施設や訪問看護サービスは、平成6年2月に策定した「京都市高齢者保健福祉計画」に、今世紀中に整備すべき目標を掲げて増設に取り組んできている。しかし、老人保健施設の整備がなかなか進んでいないのが実情であり、計画の目標を達成するためには、さらに強力な取組が必要な状況である。(図7参照)
また、痴ほう性高齢者対策は大きな課題となってきている。痴ほう症の正しい知識や予防の普及、痴ほう症の早期発見及び早期治療、痴ほう性高齢者の介護までのトータルな対策を、保健部門と福祉部門とが連携して確立する必要がある。一方、最近問題が顕在化しつつある痴ほう性高齢者の財産管理等権利擁護についても、専門家の意見も求めながら対策を講じていかなければならないだろう。
 
(3)住宅・住環境の整備
「住宅・住環境の整備」の分野であるが、実態調査の結果では、現在住んでいる住宅の不満や問題点として、老朽化が最も多く、次いで、家が狭い、風呂がない、避難がしにくいなどの順となっている。(図8参照)
また、さまざまな問題が一番集中しているのが、長屋建の民間借家であり、次いでアパート・文化住宅、一戸建の民間借家などとなっている。これらの住宅が多いのは市内中心区であり、多くの高齢者が古くから居住している。
近年京都市でも、ケアハウスやシルバーハウジングの整備、シニア住宅計画の具体化、公営住宅の高齢化仕様基準の充実等、高齢者が住みやすい住宅の供給に対する様々な取組が進んできている。また、平成7年度からは保健・福祉の関係機関と協力して高齢者等が住み続けられる住宅改善の総合相談事業を実施している。しかし、良質な住宅を整備していくためには大きな財政負担が伴う。今後さらに、保健・福祉・住宅の行政分野の連携や、市民・民間事業者が協力し合った工夫のある取組が求められてくるだろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION