日本財団 図書館


門部会」で行っているが、市民の参加を得た第三者機関での進行管理が必要との観点から、京都市社会福祉審議会に設置した「高齢社会対策推進計画評価部会」の点検を受けるとともに、ここでの意見を加えて、毎年度、計画の進捗状況を「報告書」に取りまとめて、市民に公表している。
 
3 「高齢者にやさしいまづくり」の現状と課題
次に、京都市における高齢社会対策の現状と課題を、先述の平成7年度実施の実態調査の結果を参考にしながら、取組の各分野に沿って述べてみたい。
(1)就労と所得保障
まず「就労と所得保障」の分野であるが、実態調査の結果では、京都市の60歳以上高齢者の3割強が就労している。(図6参照)
また、就業形態では、商工自営業主が最も多く、続いて常用勤労者、臨時・日雇・パート、会社役員の順となっている。5年前の調査と比べて、家族従業員が減少し、臨時・日雇・パートが上昇しており、京都市の高齢者就業の場であった自営業が比重を下げてきている。労働行政は国や都道府県の分野ということになるが、京都市としても主体的に、小規模事業所にも60歳以上定年制や65歳までの継続雇用の普及・定着を図ることや、介護休業制度の導入促進などについて、実態調査結果等を生かした具体的な問題提起や必要な措置の働きかけを、国や京都府に行っていく必要がある。
また京都市独自でも、伝統産業や商工自営業の振興を図る一方、シルバー人材センターをはじめとする高齢者に適した就労の場の確保に積極的に取り組んでいかなければならない。特にシルバー人材センターは、支部の設置など、市民がより利用しやすいよう配慮しながら事業拡大を図る一方、会員が自ら事業拡大に向けて積極的に考え、事業運営にもっと主体的に参画していける体制をつくっていく必要がある。
また、所得保障の問題であるが、実態調査の結果では、高齢者の収入は年金制度の充実などにより改善されているとはいいながら、60歳以上高齢者のうち年間収入(個人)が100万円以下の者が4分の1を占めており、まだ低位な実態にある。また男女格差も著しい。これからも増えていく子どもからの独立型単身・夫婦のみ世帯の生活を支え、高齢期も自立した安心できる生活が送れる所得保障の拡充は、さらに強く求められてくるであろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION