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や社会教育において福祉教育の充実が求められる。また、今後増大すると予想される介護ニーズの増加に対応するために、地域・家庭での介護マンパワーの確保が必要となる。現在川崎市では、2000年までに13000人を目標とする「ハートフルヘルパー養成講座(注13)」が市内各地で展開されている。
ここでは、市民と行政が一体となり事業展開を行っている「ミニデイケアサービス事業」を紹介し、今後の方向性を述べていくこととする。
イ 「老人いこいの家」を使ったミニデイケアサービスの展開
川崎市には44ケ所の「老人いこいの家」が設置されており、余暇活動の場として地域の高齢者に利用されてきた。現在、「老人いこいの家」を使った新たな動きが各地域で展開されつつある。今回紹介する「高津区の上作延老人いこいの家」はその一つであり、社会福祉協議会、高津保健所、在宅支援センター、地域のボランティアが運営協議会を設立し、平成5年10月からミニデイケアサービスを開始した。
ミニデイケアサービスの目的は、高齢者の自立的生活を支え社会的な孤立感を解消し心身機能の向上を図るとともに、家族の精神的・身体的負担の軽減を図るべく地域福祉サービスの拠点を築こうとするものである。また、地域間のたすけあいによってバリアーをなくそうとする動きである。
事業内容は次のとおりである。毎月第三木曜日、午前中にボランティアの方々が車などで地域に住む高齢者を迎えに行く。集まった高齢者の順に保健婦が血圧測定と問診を行った後、簡単なリハビリ体操などを行う。昼食は「配食グループ高津」が受け持ち、手作りのお弁当を食べながら、趣味や昔話に興じる。午後は季節に応じたゲームで楽しい時を過ごす。
ウ 「老人いこいの家」の有効活用の方向性
「老人いこいの家」は、川崎市内に居住する60歳以上の者ならば誰でも利用できる施設であり、身体的ハンディを持つ者や心身機能の低下した者についても、「老人いこいの家」の活用することが可能である。
「老人いこいの家」について、高齢者の憩いの場として利用できる側面を大切にしながら、地域福祉サービスの拠点として位置付けを図っていくことが可能だと考える。

 

 

 

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