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(1)福祉の心の醸成(ソフト面)
福祉の風土づくり運動は、いわば「まちに福祉を」という地域における高齢者、障害者等への理解や福祉のまちづくりの語り合いから始まったと言える。この活動を全市的に展開するために、「福祉の風土づくり推進委員会」が設置されたほか、区の特性を生かし、各区で自主的に活動する福祉の風土づくり区推進委員会も設置され、さまざまな地域福祉活動が展開されていった。20年余にわたるこれらの活動は、福祉のまちづくりを、行政を中心とした「考え理解する段階」から、地域で市民と行政が協力・連携した「ともに体験し実践する段階」へと発展させ、その過程で市民の目主的活動も広がっていった。
しかし、推進委員会の活動は、社会福祉協議会と協力・連携して行われてきたが、都市を構成する市民・事業者・行政という三者間の連携やそのネットワークによる全市的展開の点からは十分とは言えず、今後は、地域を構成する市民・事業者・団体や学校、施設等との連携をどのように進めるのか、また、社会福祉協議会と行政がこれら地域とどう協力し、連携していくのかを整理していくことが必要である。
その一つに、横浜市社会福祉協議会が平成7年に市民参加を得て地域福祉活動の一層の活性化を図るため策定した「地域福祉活動計画」があげられる。この計画の実践過程での市民、事業、行政の積極的な連携が重要となってくる。
 
(2)福祉の都市環境整備(ハード面)
福祉のまちづくりの施設整備は、「福祉の都市環境づくり推進指針」に基づき、事業者の協力及び社会状況の変化等に応じた推進指針の改定を経て、建築物に対する整備を進めてきた。特に、平成3年には、推進指針に事前協議対象施設の追加や面的な都市整備事業への福祉の観点の配慮規定などが新たに位置付けられた。
しかし、推進指針の改定のみでは、身近な施設への整備の充実や一定地域における総合的な福祉のまちづくりについて十分ではなく、特に面的な整備の促進策や、移動の視点での適路・交通サービスのあり方が大きな課題となっている。これまでは、「福祉の都市環境づくり推進指針」の改定を中心に、福祉のまちづくりが進められてきたが、要綱に基づく行政指導の限界も含め、まちづくり事業全体の中で福祉のまちづくりの施設整備の総合的な検討が必要となっている。

 

 

 

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