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そこで、健康で生き生きと活躍できる場が広がっていくことが期待されるが、現実としては高齢者自身が個々に有する社会参加意欲を十分に引き出しているとは言いがたく、その向上を図るための環境づくりが求められている。
「シニアのための市民ネットワーク仙台」は、高齢者の力を最大限に生かし、新しいコミュニティを築くための運動組織や実践体を市民自らが生み出さなければならないという、健康な高齢者の切実な問題意識を背景に平成7年8月に生まれた団体である。
この団体は、組織の立ち上げから運営、活動の企画実践まで全てメンバーの手で行われており、行政との協力関係を保ちながらも、組織の性格や経済面等で下請け的にならない本格的なNPO型の自立した市民組織である。したがって活動資金は個人会費収入のほか、企業や民間団体から受ける資金協力で賄われている。ここでは、高齢者がそれまで培ってきた豊かな知識や技術、経験等を生かした様々なボランティア活動や非営利活動の創出を図る他、高齢化という共通の問題を背景に、情報交換しながら互いに不足しているものを補うために、既に地域で実績を挙げているボランティア団体や市民グループとの交流も行われている。
(4)市民公益活動に対する行政の関わり方の方向性
これまで述べてきた事例を踏まえると、高齢者に関する市民の主体的な公益活動は多様な展開を見せており、これに対する行政側の対応が問われる。これに対しては、単なる行政サービスの補完という評価からだけでなく、多様で質の高い都市サービスの実現のため、公益活動独自の役割と市民の主体性を尊重しながら、これに対する行政側としての関わり方や役割分担について明確にすることが必要となる。
このような観点から、市民と行政のパートナーシップの構築等に向けた課題の検討や活動団体との情報提供を行い、市民の持てる力を十分に発揮できるような環境づくりも重要になると考えられる。
 
3 バリアフリーのまちづくりのための施策の展開
高齢化社会を支える都市の条件は、保健、福祉などのサポートシステムとともに、市民の世代を超えた交流や活動を促進するバリアフリーの環境と風土を持つことにある。高齢化問題に対する共通認識と、これをより正確にか

 

 

 

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