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(2)民間企業の社会貢献との関わり
近年、社会貢献に対する民間企業の関心が高まってきており、実際に活動を始めているところも出てきている。仙台市内に支店を持つ建設会社では、ボランティア活動に関するセミナーに参加し、既述の「あかねグループ」の存在を知り、協力関係が生まれている。この会社では、平成7年1月から食事サービスの宅配に、運転者付きの社用車を提供している。
これまでの福祉分野における企業の社会貢献の例としては、募金や寄付といった経済的支援が目立っていた。しかし、この活動を行っている建設会社では、もっと地域につながるような実践活動にも踏み出すべきだという考えから、具体的な活動について模索していた。一方、時を同じくして「あかねグループ」では、食事サービスの宅配の回数を週一回から二回に増やしたものの、車の運転手不足に直面していた。このようにして双方の希望が成就する形で、新たな活動体制を築いたのである。
どちらかと言えば、従来からある地縁型の市民グループの活動と民間企業の社会貢献との連携といった、これまで結びつきが薄いと考えられていたような組み合わせの事例は、今後も出現しないとは言い切れず、このように高齢化社会を担う主体の多元性や多様性も十分に視野に入れなければならないという一事例と言える。
(3)「シニアのための市民ネットワーク仙台」
高齢化の急激な進展により、介護が必要な高齢者が確実に増えていくことが避けられないものと考えられる状況下においては、高齢化対策は要介護高齢者に対する福祉や保健・医療の分野の議論に重点が置かれがちであった。
これまでのように、高齢者全てを高齢化対策の対象としてのみとらえることは、高齢者数の伸びによる介護需要の増大への対応に、自ずと限界が生じることが予想される。したがって、介護を要しない高齢者を貴重なマンパワーとして、つまり高齢化対策の対象からそれを担う主体としてとらえる発想も必要である。
超高齢化社会はたくさんの元気な高齢者のいる社会でもある。高齢者が社会の一員としての役割を担い、社会に貢献していくことは、その社会のためだけではなく、高齢者自身の健康づくりや生きがいづくりにも役立つものである。

 

 

 

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