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2 高齢社会を支える市民公益活動とその推進
高齢化社会を支えるには、行政側の体制や施策の整備のみならず、市民の力が不可欠であるが、これまでの高齢化問題、特に介護の問題は、主として家庭という単位の中で解決すべきものとしてとらえられる傾向にあり、主に一家の女性がその担い手となることが多かった。
しかし、核家族化や女性が仕事に就く傾向が強まる中においては、介護を家庭のみの問題としてとらえることには限界があり、社会全体の問題として考えることが必要である。
このような社会を支える上での大きなパワーとなるのは、ボランティア、NPO(非営利団体)、地域活動といった民間の公益活動である。「豊齢化社会」の実現のためには、高齢者の自助努力とともに、行政、サービス提供機関等との連携のみならず、地域の住民の協力も含めた福祉のまちづくりを進めていく必要がある。近年、市民の高齢化社会への関心と理解の高まりとともに、市民グループによる在宅福祉サービス等のボランティア活動が盛んになってきた。
ここでは、市内の特徴的な活動事例をいくつか紹介する。
(1)「あかねグループ」
「あかねグループ」は、昭和57年2月に10名で結成された、仙台の地域福祉活動の草分け的団体である。その運動の出発点は、家庭に閉じ籠もっていることへの危機感から、新しい生き方を模索する子育て後の主婦たちの会であった。しかし、年老いた親や夫を看取ることに疲れ、経済力もなく、孤独な晩年を送る女性が多いという現実にぶつかり、高齢者の生活を支援する食事サービスを行うようになった。
このグループは活動にかかる必要経費等の部分について、利用者に負担を求めるいわゆる「有償ボランティア」であり、発足当初には、この方法になじみが薄い市民が多く、このグループの活動に理解を得ることが難しいといった問題もあった。しかし現在では高齢者の電話相談や託児、託老等、行政では手が届きにくいきめ細かい分野に先行的に取り組んできたほか、出版活動やネットワークづくりを行うなどいわゆる組織的、持続的に活動を行うNPOとして成長し、その活動は地域に定着しており、また活動分野も拡大している。

 

 

 

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