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障害者等の自立生活が可能な住宅と住環境」を基本目標の一つに掲げているが、今後、地域の実態に応じた在宅生活を可能とする総合的な福祉サービスのあり方を施設づくりも含めて、さらに議論していく必要がある。
また、同じ札幌市内でも、地域コミュニティが今後とも機能しうる地区もあれば、機能が低下してしまっている地区も存在する。これも、それぞれの地区の実態にあった地域福祉活動を行うことが、最も望ましいのではないか。そして、それは住民自身が計画段階から参画して、地区の実態にふさわしい地域福祉のあり方を決定し、実行段階まで責任をもって行うことが真の市民参加であろう。
なお、札幌市では、現在、新規の住宅団地(篠路地区)において、福祉に配慮したハードの整備とソフト面としての地域福祉ネットワークの形成を同一地域で進める地域福祉モデルゾーンの整備に着手したところであり、この地域での取組状況を、今後のまちづくりを検討する基礎とする予定である。
(2)行政と地域住民の役割分担−要求から協働へ−
21世紀初頭以降の経済成長率の低下と投資余力の減少が予想されるなかで、「高齢者にやさしいまちづくり」といえども、どこまで行政が担うべきかの根本的な議論も必要である。
例えば、昨年1月の豪雪の後で、フィンランドでの生活体験から歩道除雪の責任を問う新聞投書があった。ヘルシンキでは、公道は自治体の責任、公道に接する歩道はそこにある建物の住民の責任と決まっている。除雪を怠って通行人に事故があると住人の責任が問われることから、自分で除雪しない住民は業者に依頼する。また、除雪の妨げとなる違反駐車はどんどん移動させて、罰金を取り立てるそうである。
もちろん、日本とフィンランドでは歴史的な背景や制度も異なり、ヘルシンキの降雪量は札幌市のそれの半分以下であるが、行政と住民の役割分担を改めて考えさせられる事例である。
(3)行政と民間事業者との競合
現在、公的介護保険の導入が問題になっており、そのなかで介護保険が福祉の市場化をもたらすのではないか、との議論がある。現実に、札幌市でも、民間事業者の有料福祉サービスを受けている高齢者がおり、

 

 

 

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