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述のパーソントリップ調査の結果でみても、大きく増加してきている。
札幌市では、こうしたモータリゼーションの進展に伴う問題が深刻化する前に、環境や歩行者に配慮し、公共交通を軸とした街づくりを目指すため、平成6年度から「人にやさしい交通対策」を推進している。
この対策は「交通弱者福祉の視点」など5つの視点で「交通と人との調和」など3つの調和を目指している。具体的な取り組みとしては、前述の地下鉄駅舎エレベーター設置をはじめ、電車停留所への乗降表示盤設置、ロードヒーティング整備、屋根の新設・改修などのハード事業も行っているが、同時にバスレーン規制の新設・拡充、市営交通と民営バスで共通して利用できる共通乗車ホリデーキップの発売などのソフト事業にも力を入れている。また、モータリゼーションの波が早期に押し寄せた欧米諸都市では、公共交通機関の充実を図る一方で、自動車利用の適正化を図るために様々な施策が試みられていることから、こうした取り組みを広く市民に紹介し、市民とともに都市交通問題を考えるシンポジウムの開催等も行っている。
 
5 今後の課題と展望
 
以上、冬季間の生活対策と交通対策に絞って、その現状と問題点を紹介してきたが、ここで今後の社会変化等を考慮した課題と展望について考察してみたい。
(1)地域の特色ある「高齢者にやさしいまちづくり」
周知のように、現在「地方分権推進法」に基づいて地方分権推進計画の指針づくりが進められているが、「高齢者にやさしいまち」についても、全国一律の固定的な概念にとらわれず、今後は地域によって特色あるものを考えていく必要があろう。
例えば、前述のように札幌の高齢者については、冬季間、病院や入所施設への需要が多いという実態がある。もちろん大多数の人は年老いてもできる限り自宅で生活することを望んでいるが、地域特性を考慮した場合、高齢単身者や高齢夫婦世帯で冬季間一軒家で生活することは、高齢者にとって相当の負担がかかっていることであろう。
平成6年に策定した「札幌市住宅基本計画一のなかでも、「高齢者や

 

 

 

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