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な問題や地権者の関係で今後も設置が難しいものもある。(平成8年度末現在47駅中31駅に設置:設置率66%)
(2)敬老優待乗車証交付事業
この制度は、昭和50年から始めたものであり、高齢者の社会参加を広め、豊かで充実した老後生活が送れるよう、市営交通機関(電車、バス、地下鉄)及び民営バス等を無料で利用できる敬老優待乗車証(敬老パス)を交付している。各大都市でも類似の事業が行われているが、札幌市の場合、対象者は70歳以上の者全員である。
この制度の評価については功罪、様々な議論があるが、高齢者の社会参加促進に役立っていることは否定できない。特に、バスについては、近距離の利用では割高感が伴うものであるが、この敬老パスのおかげで高齢者の身近な交通手段となっているものと思われる。平成6年のパーソントリップ調査の結果をみても、代表交通手段に占めるバスの割合は、全体では4.5%であるのに対し高齢者だけをとると9.9%となっている。
また、札幌市では、前述した市政世論調査で交通の便利さを進める事業のニーズについても調査しているが、60歳以上の要望の1位は常にバス路線綱の充実であり、地下鉄の建設を求める若年層と際立った違いをみせている。さらに、バスターミナルや地下鉄駅施設の改善を求める要望も60歳以上では高く、階段の昇り降りなどが高齢者に与える負担の大きさを感じさせる。
他方、敬老パスの交付は多額の財政負担を生じており、平成7年度決算額で約24億円となっている。これは平均的な既設駅舎エレベーター工事費の5倍以上であり、今後、高齢者の増加により、ますます増えていくと思われる。さらに、経済的にゆとりのある者や寝たきりの者にまで交付することの不合理感が市民の間にもあり、所得制限や一部有料化などの意見も見受けられる。
(3)「人にやさしい交通対策」の推進
札幌市内の自動車保有台数は平成7年で86万台を突破し、今や市民の2人に1人が自動車を所有している計算になる。また、5年前と比較してその増加率は19.7%に及び、12大都市都市中3位の伸びとなっている。高齢者の自動車運転免許保有状況と自動車運転量の推移を前

 

 

 

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