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このほかにも、本市のある区役所が独自の取り組みとして作成した「安心マップ」が、災害時の救援活動に役立つ貴重な情報になるものとして注目されている。このマップは、要介護者の情報リストに所在地を組み合わせたもので、昨年1月の豪雪の際にも、市職員や地域ボランティアによる単身高齢者世帯等の安否確認や除雪作業に活用された。
また、学校給食を納入している業者は、災害時に学校へ避難した人たちに当座の食料を提供しようと協議会を設立し、災害時以外の活動として、冷凍食品や有り合わせの野菜を使った「一人暮らしの高齢者のための料理教室」を開いている。
 
4 交通対策とその問題点
 
(1)地下鉄の整備
昭和40年代まで、札幌市の交通機関の主役は電車とバスであったが、積雪寒冷地の冬季の平面交通による市民の足の確保は、マイカーの増加などにより年々困難さを増していた。このため、札幌市では昭和37年に将来の都市交通網計画の策定に着手し、各種の専門機関等による検討結果を踏まえて、季節や天侯の影響を受けない高速度の大量輸送機関として、地下鉄を整備することを決定した。
こうして昭和43年に建設を開始した地下鉄「南北線」は、昭和47年に開催される第11回札幌オリンピック冬季大会の輸送を担当するべく昭和46年に開業を行った。以来25年が経過し、現在、札幌市の地下鉄は「南北線」「東西線」「東豊線」の3路線45.2?で営業している。この地下鉄の定時運行能力は、昨年1月の豪雪の際にも遺憾なく発揮され、終日平常ダイヤで運行されていた。
しかしながら、この地下鉄も、近年、マイカーの増加による乗客離れや多額の建設費用などによる赤字に苦しんでおり、平成7年度末で未処理欠損金は2,500億円を超えている。
また、高齢者や障害者などが利用するために欠かせない駅舎のエレベーターについてであるが、最も新しい「東豊線」では全駅に当初から整備されているものの、「南北線」と「東西線」は、既設の駅舎を改修しながら順次設置している状況である。しかも、駅舎によっては、構造的

 

 

 

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