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では「つるつる路面」と呼ぶ。)の出現である。
深刻な都市環境問題であったスパイクタイヤによる粉塵は、スパイクタイヤの使用禁止という形で解決したが、一方で新たな問題として、平成4年12月から非常に滑りやすい凍結路面が都心部を中心として頻繁に出現し、交通渋滞やスリップ事故のみならず、歩行者が道路を歩くことすら危険な状況となっている。転倒事故により救急車で搬送された人は、平成3年度が375人であったものが、平成7年度には756人に達している。凍結路面による歩行者の転倒事故は、若年者にとっても他人事ではなく、平成7年度の756人中119人が40歳未満であった。
しかし、滑りやすい凍結路面発生のメカニズムは、まだ全てが解明されているわけではない。スタッドレスタイヤの装着も原因の一つであるが、歩道路面にもこの現象は顕著であり、凍結と融解を繰り返す気温の要因も無視できない。
現在、講じられている凍結防止対策としては、凍結防止剤の散布があるが、環境に与える影響を考えると塩化物の使用は控える必要があり、試行錯誤を重ねている段階である。また、ロードヒーティングの設置も積極的に進められており、個人の家庭でも、敷地内や玄関先の歩道に設置する例が多く見られるようになってきた。しかし、ロードヒーティングを全市的に設置するような方策は、ランニングコストの面からも困難である。また、近年、地下歩行空間ネットワークに関する研究が盛んであるが、こちらの方も建設コストを考えると全市的な展開は非現実的である。
このように、現時点では、短期的には凍結防止剤に改良を加えること、中長期的には滑りづらい舗装路面やタイヤの開発を推進することなどしか、有効な手段は見当たらないようである。
(6)新しい動き
前述のように昨年1月9日の記録的豪雪は、市民生活、特に高齢者や身体障害者などに大きな打撃を与えたが、これを機会に、札幌市では「雪害対策マニュアル」をつくり、豪雪時の除雪体制を大きく見直した。
また、市内を46地区に分けた「マルチゾーン除雪地区」単位で「冬季通学路安全推進連絡会議」を設け、市民参加で通学の安全確保に努めることにしている。

 

 

 

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