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なり、地域にとって大きなメリットとなる。
(3)高齢者・身体障害者世帯の除雪対策
高齢者や身体障害者にとって、除雪の問題はさらに深刻である。特にひとり暮らしの高齢者や身体障害者世帯にとっては、経済的にも体力的にも除雪が困難であることが少なくない。
このような問題に対処するため、札幌市では、各区の社会福祉協議会が中心となって「除雪ボランティア事業」を行っている。対象となるのは経済的(概ね所得税非課税世帯)、体力的に除雪が困難なひとり暮らしの65歳以上の世帯、ひとり暮らしの身体障害者世帯などであり、奉仕者は町内会、消防団、ボランティアグループ、老人クラブ等と個人である。玄関先の除雪と屋根の雪降ろしを行っているが、危険の伴う屋根の雪おろしは、主に団体のボランティアが行っている。市では、地域福祉振興基金の運用果実を使って、この事業を支援している。
平成7年度の対象世帯は、玄関先除雪が692世帯、また、屋根の雪おろしは81件であった。
(4)豪雪時の市民の支援活動
昨年1月の豪雪を踏まえて、札幌市では今年度「雪と市民生活」をテーマとして調査を行った。
その結果、昨年の冬、高齢者や身体障害者に対して除排雪や安否確認などの支援を行った人は、17.1%となっており、その内訳は、隣近所に住む人、親族・家族、知り合い、町内会の役員などとなっている。逆に支援をしなかった理由としては、「支援を必要とする人が住んでいるかどうかわからなかった」が50%近くを占めた。
札幌市では平成4年度に「高齢者生活実態調査」を実施したが、そのなかでも高齢者が近所の人に望むこととして「話し相手や相談相手」(22.6%)、「除雪」(13.3%)の順となっていた。
このように、高齢者に対する豪雪時の支援者として、隣近所の人の役割は大きいものがあり、1月の豪雪時も、制度的な「除雪ボランティア」の人以外の活躍が大きかったものと想像される。
(5)雪による歩行者の事故防止対策
冬季間における積雪は、高齢者を巻き添えにする交通事故の発生の危険性があるが、近年、問題となっているのが滑りやすい凍結路面(地元

 

 

 

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