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ある。既に、交差点における段差切り下げや、誘導点字ブロックの設置、歩道上にベンチを置くなどの対策は広く行われてきているところである。しかしながら、大都市地域においては、バリアフリー化のための改良工事が必要とされる道路が多いことや、そもそもの幅員が狭く、歩道を確保することができない道路が多く存していること、多数の電柱が歩道上に残されていること、地方公団体の財政の関係からなどから、未だ十分に整備されているとはいえない。道路などの整備においては、どこか1カ所が未整備であっても、その効果は減殺されてしまうことから、行政は、まち全体を見渡して総合的な見地から計画的に取り組んでいくことが必要である。
交通機関については、高齢者が駅から駅に移動するまでの区間すべてがバリアフリー化されていることが重要である。例えば一カ所でも未整備な箇所があると高齢者はそこで立ち往生することになることから、ターミナル等の入口から構内、ホーム、車両等の内部まで一体的に整備することが必要である。また、バス車両についても、車椅子用のリフトを装備したものの導入が図られつつある。しかし、道路幅員が狭い地域ではリフトの使えない停留所が存在したり、そもそも高齢者の家から駅や停留所までの道のりにバリアが存する場合には交通機関だけをバリアフリー化してもその効果は薄らいでしまうことからも、総合的なまちづくりを行っていくことの重要性が認識される。
公園については、高齢者にとってみると、社会参加や生きがいづくりに寄与するレクリエーションや交流を行う場の一つであり、障害を取り除いた使いやすいものとしていくことが必要となる。具体的には、出入り口の幅を一定以上にするとともに、トイレ、水飲み場、園路等を他の施設と同様バリアフリー化していくことが必要となる。また、公園までのアクセスにおいてもバリアフリー化されることが必要であることも同様である。
このほか、行政は、移動に困難を持つ人たちの利便に供するため、町の中心部のショッピングセンターや駐車場、公共交通機関のある幹線道路沿いなどに、ボランティア団体等が運営する電動スクーターや車椅子を無料で貸し出すための拠点を設置する「タウンモビリティ」の導入も検討していくことが必要であると考えられる。
 
?公共施設のバリアフリー化
地方公共団体は、地域福祉を率先して推進する立場にあることから、地方公共団体が事業者として行う公共施設の整備や既存の公共施設等についても、エレベータの設置、階段のスロープ化、歩道の段差切り下げ、電柱等の除去、車椅子用トイレの設置等の改良がかなり進んできているといえる。
自治省では、一定の公共施設や都市基盤施設のバリアフリー化のための改良に際しては、地域福祉推進特別対策事業の対象とし、事業経費の75%について地域総合整備事業債を許可し、その元利償還金の一部を地方交付税で措置するとともに、当該年度の事業費の15%を原則として当該事業年度に地方交付税措置の対象としているところであるが、各団体においては、こうした支援措置を活用しながら、

 

 

 

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