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3 バリアフリーなまちづくりの推進
 
高齢者や障害者の社会参加を促進するため、都市施設等の物理的な障害を取り除き、健常者と同様に都市施設等を利用できるようにする、いわゆるバリアフリーなまちづくりは、70年代から各自治体などにおいて行われてきたといわれており、最近では、高齢者等の生きがいの創出や社会参加の促進につながるバリアフリーなまちづくりの重要性について、市民、企業等の理解も進んできている。もっとも、バリアフリーなまちづくりとは、高齢着、障害者などのための特別な配慮ではなく、子供連れ、荷物を持った人など誰もが利用しやすい普遍的なまちづくりを行うものであると考えることが適当であると考えられる。ここでは、福祉のまちづくり条例等の策定、ハード面の施設整備、高齢者向けの住宅整備の3点に着目してみることとする。
 
(1)福祉のまちづくり条例等の策定等
国が福祉のまちづくりのためのモデル事業や指針づくりを進めている中で、最近、地方公共団体においては福祉のまちづくり条例や要綱等を制定する動きが多く見られる。特に都道府県においては平成8年10月までに半数以上の28都府県が制定を終えており、その他の都道府県においても近い将来に制定することを予定している団体もみられる。一方、指定都市で条例を制定している都市は平成8年4月現在、仙台市と神戸市の2市のみであるが、要綱等の策定により対応している団体も多くある。
福祉のまちづくり条例等は、その名称は「人にやさしいまちづくり条例」や「福祉をまもる条例」など様々であるが、その内容は、公民館などの公共施設や道路、公園、交通施設などの都市基盤施設を設置する際に、行政や事業者などに対し、いわゆるバリアフリーな配慮を行うよう義務づけ、高齢者や障害者などにやさしいまちづくりを進めていくことを目指すもので、行政や住民、事業者の基本的な責務を定めるとともに、条例等の対象となる施設等の範囲や整備の際の基準などが規定されているものが一般的である。こうした条例や要綱は、民間事業者による施設の整備に当たりバリアフリーな配慮が行われるよう一定の義務とガイドラインを示したものであり、今後、民間事業者が条例に沿った施設整備を主体的に進めていくことが望まれる。
 
(2)生活環境の整備
バリアフリーなまちづくりの重要性の認識は広く一般に広まりつつあり、施設等のバリアフリー化が進みつつあるものの、都市部においては、未だ多くの「障害」が残されたままになっているのが現状であろう。こうした状況を踏まえ、行政は、今後さらに面的な整備や既存施設の改良などを行っていくことが必要になると考えられる。
 
?都市基盤の面的整備におけるバリアフリー
道路に関しては、高齢者等が快適に歩行できる空間を確保していくことが重要で

 

 

 

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