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療法士や、他の保健・医療・福祉サービスと総合的な調整を図るコーディネーターは不足しており、また、福祉機器の利用者と頻繁に接触し、福祉機器の操作を行うことも求められるホームヘルパーや保健婦、看護婦等に対する福祉機器に関する研修も不足しているなど様々な問題点がある。このため、今後行政は、こうした人材の確保・養成を行うとともに、ホームヘルパー等に対する研修の実施を進めていくことが必要であると考えられる。
 
? 介護者に対する支援
現在の我が国における要介護者に対する介護マンパワーは、家族の力に大きく依存している。こうした中で、核家族化の進行による家庭内の介護マンパワーの不足、介護の必要な高齢者数の増加、介護内容の複雑・困難化、介護期間の長期化、介護者自身の高齢化などにより、要介護者を持つ家族は、介護による時間的拘束、睡眠不足、過労、精神的負担など非常に重い心身の負担を負っている場合がしばしばある。こうした問題は、介護関連の施設や在宅介護サービスを充実させ、その内容を要介護者やその家族に十分に周知し、受け入れ態勢を整えるとともに、総合的な相談窓口の設置や24時間体制の相談システムを置くことなどにより、かなりの改善が見込まれるであろう。
 
?マンパワーの確保等
我が国は、いわゆる寝たきり老人が多く、その原因としては病院、在宅にかかわらず、介護、リハビリ等に携わる看護婦やホームヘルパー等のマンパワーが不足していることに起因する「寝かせきり」であるという指摘がある。このため、高齢者福祉に従事するマンパワーの確保が急務であるが、高齢化社会の進展により、保健・福祉サービスの提供業務に従事する人材の確保は難しくなってきており、特に、24時間巡回ホームヘルパーや、ケア付き公営住宅の住み込みアドバイザーなど、負担の大きな役割を担う人材の確保は困難になってきている。しかし、こうした中においても、行政は必要なマンパワーの確保と養成を今後とも行っていくことが求められる。
 
? 介護技術の研修等
マンパワーの確保には、数の面だけではなく、その質を高めていくことも重要である。年々進歩していく福祉機器への対応や重度化する介護対象者に対する介護技術の向上等を図るためには、ホームヘルパーに対する研修を採用時だけに限るのではなく、より高度で実践的な再研修の機会を設けていくことが必要である。
また、こうした介護技術の研修は、ホームヘルパーや福祉関連の職員だけではなく、要介護者の家族や、福祉活動を行うボランティアや地域の住民などに対しても、その必要性に応じたレベルの研修を行っていくことが必要である。

 

 

 

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