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?介護者の負担を軽減する効果があること、?福祉機器は多品種少量生産が要求されるが需用者の購買能力に限界があるため、行政が何らかの支援を行う必要があると考えられることなどがあげられる。このため、行政は、福祉機器に関して次のような施策の実施を検討する必要があると考えられる。
 
(?)情報の提供、相談事業
福祉機器の利用者は、福祉機器を利用するに当たり、実際に実物を見たうえで専門の相談員に相談し、説明やアドバイスを受けることが必要となる。現在、在宅介護福祉センタ」などの施設の一部において、福祉機器の展示や相談などを行っている例もあるが、福祉機器の情報の提供を受けたり相談を行う機会が十分にあるとは言い難い。今後、専門的な相談員による機器の選定や使用方法・注意点、メインテナンスの方法等の相談、情報提供、福祉機器購入後のフォローアップなどに行政が取り組んでいくことが望まれる。
 
(?)給付・貸与
現在行われている福祉機器の給付や貸与等の事業に対しては、対象品目が限定されており、利用者の主体的選択の機会が与えられていないこと、他の保健・医療・福祉サービス等との連携が必ずしも図られておらず、利用者の心身等の状況や家族等の生活環境を踏まえた給付等になっていないこと、アフターケアが不十分であることなどが問題点として指摘されている。しかし、日常生活用具の給付事業等は国の補助事業として行われているため、対象品目の変更や給付決定の仕組み等の改善は地方公共団体だけで行うことは難しいのが現状である。このため、給付等の対象品目の拡大や福祉機器の購入費用・レンタル費用の助成、他の保健・医療・福祉サービスと連携した給付・貸与、身体の状況に合わせた調整や修理などのアフターケアなどについては、各団体が単独事業として行うことを検討していくことが必要であると考えられる。
 
(?)研究・開発等の支援
福祉機器は、様々な身体状態の高齢者に対応したものでなければならないという性格上、多品種少量生産とならざるを得ない。また、福祉機器の研究開発や製造に携わる民間事業者は中小企業が多いため、利用者ニーズの把握や研究開発費用の捻出・機器の評価等において様々な問題を抱えている場合がある。このため、福祉機器の研究・開発の推進に当たっては、産学官の共同研究の実施や、ニーズ情報の提供、研究開発費用の助成など、行政が関与していくことも必要になると考えられる。
 
(?)人材の確保・養成
福祉機器の開発・普及に当たっては、専門的な知識を有する人材をはじめ様々な人々が関わってくることとなる。しかし、専門的な知識を有する理学療法士や作業

 

 

 

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