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?政府における高齢者対策
政府における高齢化社会対策は、昭和61年に「長寿社会対策大綱」が閣議決定され、雇用対策・社会参加、生活環境対策とともに、ニーズに応じた保健医療サービスと福祉サービスを供給することのできる体制の確立と、地域における保健・医療・福祉の連携による体系的なサービス供給の推進が打ち出された。
平成元年には厚生・大蔵・自治の3大臣の合意により在宅・施設福祉の充実や寝たきりの予防、生きがい対策などの分野で従来示されていた目標値を大幅に上回る新たな目標を示した「高齢者保健福祉推進10カ年戦略」(いわゆる「ゴールドプラン」)が合意された。ゴールドプランにおいては在宅介護支援センターやケアハウス等、新しい発想の施策を積極的に盛り込むとともに、在宅福祉の重視を明確に打ちだした点で重要な意義のあるものであった。
平成2年には老人福祉法等いわゆる福祉八法の改正が行われ、在宅福祉サービスと施設福祉サービスを地域の実情に応じ市町村が一元的かつ計画的に実施する体制の整備が進められることになり、高齢者の保健・福祉サービスについては市町村を中心として行うことが明らかになった。また、すべての都道府県及び市町村に対し、老人保健福祉計画の策定が義務づけられた。
これを受けて策定された各団体の計画におけるサービス目標量を集計したところ、ゴールドプランの目標値を大きく上回ったことから、ゴールドプランの見直しの必要性が指摘され、平成6年には新ゴールドプランが策定された。この中においては、国、都道府県、市町村等がそれぞれの役割を踏まえ、適切に事業を実施するとともに、地方公共団体が地域の特性に応じて自主的に行う高齢者介護施策を支援していくことがうたわれている。今後の高齢者福祉施策の実施に当たっては、地域のニーズに密着したサービスの供給が求められており、住民に身近な地方公共団体が地域の実情に応じた多様な施策の展開を図っていく必要性が高まっていくものと考えられる。
 
?在宅福祉に係る基盤整備
今後さらに重視されていくことが予想される在宅福祉サービスの提供を進めていくうえでは、?基盤となる施設の整備、?ホームヘルプサービス等のサービスの充実、?福祉機器の開発・提供などが必要になってくるものと考えられる。以下ではこれらの施策それぞれについてみてみることとする。
 
? 施設の整備
大都市においては、介護を要する高齢者の数も多いため、介護に係る基盤施設の量的な整備を図ることが求められる。しかし、大都市においては、用地費が高額になることなどによる用地の取得難や財政的な問題などから急速な施設整備の推進は困難な面もあると考えられる。このため、次にあげるような施設の中から、各団体は地域の実情に応じ、適切な組み合わせを選択していくことが必要となる。

 

 

 

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