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?ボランティアヘの参加
近年の高齢化の進展、自由時間の増大、生活の質や豊かさの重視、多様な価値観の発生などを背景として、市民のボランティア活動に対する関心が高まってきており、その活動者数も増えてきている。こうした活動は青少年、勤労者、女性のほか高齢者の間にも広まってきており、高齢者の生きがいづくりの一つとしても注目されるところである。これまで高齢者は福祉サービス等の受け手として捉えられることが多く、ボランティア活動等の担い手として位置づけられることはあまりなかった。しかし、元気で活動意欲の高い高齢者が増えてきた現在、こうした高齢者はボランティア活動の担い手として期待することができるとともに、高齢者が自己の健康状態や能力に合わせこうした活動に参加することは、高齢者の社会参加の促進や生きがいづくりにも役立つものと考えられる。さらに、高齢者が、各年齢層が混在し高齢者に特化していないボランティア団体に参加する場合には、世代間の交流も図られ、高齢者にとっても刺激になることが期待される。
行政としては、シニアボランティアに参加を希望する高齢者に対する情報の提供や活動の場の提供など、それぞれの高齢者やボランティア団体の主体性を尊重しながらそのニーズに合わせた支援を行っていくことが望まれる。
 
?現役活動の延長
今後、労働人口が減少していくことを考えれば、社会参加の意欲が高く、かつ健康な高齢者を「労働者」として活用していくことも考えていくことが必要になるのではないかと考えられる。こうした考えに基づき、平成6年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正され、65歳までの雇用機会を確保するとともに、高年齢者が希望に応じた多様な形態で働くことができるようにするため、60歳を下回る定年を定めることを禁止するとともに、国が高年齢者がその知識と技能を活用できるような雇用機会の確保・提供を行う「高年齢者キャリア活用センター」の指定を行うことができるように措置され、平成10年10月に施行されることとなっている。
現役活動の延長は、国の施策や民間事業者等の雇用者側のニーズによるところが大きいが、地方公共団体としても、シルバー人材センターの活用等による高齢者の現役延長的な活動の支援の枠組みを検討していくことも必要であると考えられる。
 
(4)高齢者の健康増進
我が国の老人問題の特徴として、いわゆる「寝たきり老人」が多いという点が指摘されている。このため、今後の高齢者施策においては、高齢者ができる限り要介護状態にならないよう予防することが重要となる。
行政からみると、高齢者の健康増進施策に力を入れることにより、介護者や入院者の数を減らし、介護の措置費や医療費を減らすという効果も期待できる。このため、地方公共団体においては、今後とも、栄養、運動、休息のバランスのと

 

 

 

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