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具体的には、老人いこいの家のような高齢者のレクリエーション等を行うことを目的とした施設の設置、公民館や学校などの施設の開放、高齢者を対象としたスポーツ大会などのイベントの実施、地域などに存在するサークル活動等に関する情報の収集・整理と高齢者に対する情報提供などが考えられる。
これらの事業の中にはカルチャースクールやサークル活動など民間が提供可能なものや高齢者自身が自発的に集まって行うことができるものも数多くあるため、どこまでを行政が行うべきか十分に検討したうえで、地域のニーズに合わせた施策を組み合わせていくことが必要になると考えられる。
また、自発的に活動を起こすことのできる比較的元気な高齢者は、行政に頼らずとも自ら活動の場を見つけていくことも可能であるが、特別養護老人ホームの入居者やショートステイサービス、デイサービスなどを利用する高齢者の場合には、こうしたサークル活動や学習活動に参加することは困難である。こうした人たちに対しては、それぞれの施設内におけるレクリエーション活動を充実していくことで対応することとなろう。なお、民間団体やボランティア団体の中には、介護の必要な高齢者の会話や遊びの相手をするサービスを行っているものがあるが、こうした活動を行うマンパワーの確保についても行政が行っていくことについて検討すべきであると考えられる。
 
(3)高齢者の能力活用
高齢者の中にも比較的元気な高齢者と介護が必要な高齢者とがいるが、元気な高齢者の中には、退職後も自らの持つ能力を活かしたいという希望を持つ人たちも多く存在している。こうした人たちに対しては、それぞれの希望や能力にあった形で社会の中における地位と役割を与えていくことが求められており、具体的には、次のような方法が考えられる。
 
?シルバー人材センターの活用
シルバー人材センターは、定年退職後の高齢者を主たる対象として、補助的・短期的な労働を提供することにより、高齢者の社会参加を促進するとともに収入の追加的増加を図るものであり、高齢者の生きがいづくりに一定の役割を果たしている。ただし、登録されている仕事の内容には、公園の清掃、駐輪場の整理、草刈り、観光ガイドなどの単純労働が多く、事務系の仕事や女性向きの仕事は少ないうえ、賃金も比較的安い。このため、自己の持つ能力を活用していきたい高齢者のニーズとは合致しない場合が多く、引退から間もない能力のある高齢者にとっては、センターの仕事は魅力のないものとなっている。このため、今後、高齢者のニーズに合致した仕事を確保していくことが必要になるが、例えばその一つとして、高齢者のための生涯学習講座の講師として高齢者を活用することができれば、二重の意味で社会参加の促進が可能となろう。

 

 

 

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