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?生涯学習活動の支援
生涯学習活動とは、市民が自らの興味や学習意欲に基づき、又は科学技術などの発展に対応する必要に駆られて、幼年期から高齢期に至る様々な時期に学校教育以外の学習を行うものであると考えられる。したがって、生涯学習活動の促進は、高齢者の生きがい対策としての施策に限定されるわけではないが、ここでは高齢者の社会参加と生きがい対策としての観点からみていくこととする。
生涯学習を、余暇活動として様々な学習活動を自発的に行うことにより自己を高め、生きがいを見つけていくという点からみると、その分野・幅は非常に広く、人文・社会分野の学習のように教養を深めることを目的としたものや、パソコン、インターネット、語学のような実用的な分野、スポーツ、音楽、アートのような趣味的なものまで様々なものが考えられる。行政としては、住民がいかなる学習を求めているのかそのニーズをよく見極め、それに適合した事業を用意していくことが必要になる。そのうえで、ニーズにあった学習機会の提供を図っていくためには、図書館や公民館などの社会教育施設の活用や大学への社会人入学等の拡大、公開講座の開催や高齢者向けの新しい学校の創設(北九州市の「穴生学舎」等)などの事業を行っていくこととなろう。また、他の行政機関や行政以外の主体が行う生涯学習活動の情報を収集・整理し、ニーズのある高齢者に提供することにより、生涯学習活動の普及・啓発を図っていくことも効果的であると考えられる。
こうした施策を進めていく際に必要となる施設については、既存の公民館や学校等を活用することが可能であり、新たな施設整備は必ずしも必要とはしないと考えられる。それ以上に、こうした活動に講師として協力してくれる人材の確保を如何にして行っていくがが重要になってくるものと考えられる。
さらに、生涯学習活動を充実させた後の課題として、学習した内容を活かしていく実践の機会をいかにして提供していくかという問題がある。これに対しては、どこまで行政が行うべきかという議論もあるが、行政としては、生涯学習活動施策を後述の余暇活動支援や能力活用のための就労支援等の施策とリンクさせていくことにより対応していくことも可能であると考えられる。
 
?余暇活動の支援
前述の生涯学習活動は、余暇活動の一環としても捉えることができる。学習の講座を通して様々なスポーツ、レクリエーション、音楽、アートなどの活動を体験し、参加者がこれからも継続して楽しみたいと思う活動を発見すれば、次の段階としてそのような活動を継続的に行うサークル、クラブに参加しようとするであろう。行政は、必要に応じて生涯学習活動と趣味や交流を行うサークルなどとの間の仲立ちをすることも、高齢者の社会参加の促進や生きがい支援という点から効果的であると考えられる。
また、このほかに行政が行い得る施策としては、レクリエーション活動への参加を希望する高齢者に対し、その機会や活動の場を提供していくことが考えられる。

 

 

 

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