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断する方法もある。
法律の具体的な規定としては、例えば、旧法案の42条(「この法律の規定は、事業者が行う対象事業以外の土地の形状の変更又は工作物の新設若しくは増改築の事業について、地方公共団体が条例で環境影響評価に係る必要な規定を定めることを妨げるものではない。」)に、「地方公共団体は、事業者が行う対象事業についても、地域の自然的又は社会的条件に照らして必要な手続を附加することができる。ただし、一連の手続の円滑な進行を阻害するものであってならない」という文言を附加することが考えられる。
 
5.法律と要綱との関係
 
(1)地方公共団体の要綱により、環境影響評価法に基づく手続に上乗せ、横出し、裾出しをしても、行政指導には強制力がない。地方公共団体の機関が行う行政指導は行政手続法の適用除外となっているが、各都道府県に行政手続条例が制定されており、すべての行政手続条例に行政指導の限界を明示する規定がおかれている。したがって、地方公共団体で環境影響評価法に基づく手続に上乗せ、横出し、裾出しをするときは、条例を定めることが望ましい。
(2)法律との関係において、要綱の場合も条例と同様に考えるべきであり、「法律の範囲内」の解釈に基づいて違法性の議論がされるべきである。特に、「地方公共団体においても法律の趣旨を尊重する」旨の規定が置かれた場合には、条例だけでなく要綱に基づく制度も同様に取り扱うことが必要となる。
 
6.国の手続と条例(または要綱)の関係
 
この報告書は、前述のように、環境影響評価法は原則としてナショナルミニマムを規定したものであり、条例(または要綱)で地域的特性に応じた環境影響評価制度を定めることができるという立場に立つ。従って、法律と条例(または要綱)の双方の対象となる事業については、両者の相互の関連について整合を図った上で、国の手続に条例(または要綱)の規定が附加して実施されることになる。なお、条例で手続等を附加した場合においても、これは条例上の手続にすぎず、その附加された手続が実施されなかったとしても、条例上の瑕疵は生じても法律上の瑕疵を生じさせることにはならないことは前述のとおりである。また、同様の見地から、条例で附加された手続に基づく環境影響評価の結果について、国の許認可等へ反映を義務づけることは、直接には困難であるが、知り得た情報を無視すべきではなく、許認可等においてこれを考慮することは可能であると考えられる。
 

(第5章担当 大塚委員)

 

 

 

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