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評価の結果をあわせて判断して処分を行うという趣旨の規定を法律に設けて、許認可等の際に環境影響評価の結果への適切な配慮がなされるようにすることが適当である。
?ただし、地方公共団体においては、環境への影響について配慮が必要である場合には、自然条件等の地域特性を考慮して、ゴルフ場やスキー場のように許認可等の関与がない事業や規模の小さな事業についても環境影響評価制度の対象としている。
?国の環境影響評価制度の法制化に当たっては、これら地方公共団体の取組みが後退することのないようにすることが必要であり、地域特性に応じたいわゆる「横出し」、「裾出し」を認めることが必要である。
?また、今後、地方分権の推進にともない、国の許認可等の権限が地方公共団体に移譲された場合に、国の制度の対象事業をどのように定めるかといった点についても検討が必要である。
(2)対象事業の定め方(スクリーニング手続の導入)
?対象事業の定め方について、答申では、一定の事業種を列挙した上で、(ア)規模要件によって必ず環境影響評価を実施すべき事業を定めるとともに、(イ)その規模を下回る事業についても一定規模以上のものについては、事業の規模、事業が実施される地域の環境状況等によって環境影響評価を実施すか否かを個別の事業ごとに判断する手続(スクリーニング手続)を導入することとされている。
?答申におけるスクリーニング手続においては、国が地方公共団体等の意見を聞いた上で環境影響評価の対象とするかどうかを決定することとされているが、地方公共団体の意見と国の決定とがくい違った場合の取扱いが問題となる。すなわち、地方公共団体が環境影響評価の対象とすべきであるとの意見を述べたにもかかわらず、国が対象としない決定を行った場合、地方公共団体が「横出し」又は「裾出し」として独自に環境影響評価の対象とすることができるかどうかが問題となる。
?国の判断は、あくまで国の制度においては対象としないということであり、地域特性に応じた地方公共団体の判断を生かす余地を残すことも検討することが必要である。
即ち、対象事業について整理すると、
(ア)規模要件で必ず実施する事業
(イ)規模要件でスクリーニングの対象となる事業
(ウ)(ア)、(イ)以下の規模の事業
に分けられるが、(イ)で対象としないとされた事業と(ウ)の事業については、地域特性に応じて条例により地方公共団体が対象とできるようにする仕組みとすることが必要である。
なお、この場合、国制度の対象事業と地方制度の対象事業との取扱いの差は、前者は、国の許認可に際して、環境影響評価の結果をあわせて判断して処分を行うことが法律上要求されるが、後者は、許認可権者に事実上の配慮要請ができるに止まるものである。従って、国が対象としないとした判断は、許認可等への反映の差として表れる可能性がある。この場合、法律による手続と、条例による手続との合理的な整合性が図られる必要がある。

 

 

 

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